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雑炊閣下備忘録

ブログというものを始めてみることにした。どうなるか分からないが、いろいろやってみようと思う。

信長の野望 創造 戦国立志伝 レビュー的な

「この文章には、あることの他にないことも書かれている。ここで読んだことは、あくまで『ここだけの話』としておいてもらいたい。ご利用は自己責任で、ということである」

最初は某ゲーム通販サイトに上げようとしたが字数制限に引っかかったので某巨大通販サイトに上げ直し、それでも何だか物足りないのでこっちにも上げる事にしたレビューである。夜は人を狂わせるぜ。

 

 ゲーム全体としては及第点だが、追加要素はいまいちといったところ。

本作の追加要素には武将プレイ、内政、合戦の三つがあるが、このうち明らかに良くなったと思えるのは合戦だけである。

 
・まず武将プレイだが、太閤立志伝とは別シリーズであることを意識しすぎたか、あまりに「物語性」が欠如している。


本作のキャッチコピーは「己の生き様、乱世に刻め」であったと記憶しているが、プレイして実際に刻まれるのは一人の武将の生きざまというよりは一つの大名家の行く末であり、つまりは信長の野望 創造』の大型拡張キットと解釈するのがもっとも適当であると言える。
従って、遺憾ながら本作を『創造2』としてフルプライスで売り出すのは、内容的に(現時点では)あまりに不足していると言わざるをえない。

そのことを端的に表しているのが本作のエンディングである。本作では主人公である武将が死亡するか、所属する大名家が天下を統一することでエンディングを迎える。事前情報では、それまでの生涯を振り返るようなものということで、筆者はこれにかなり期待していた。

ゲーム内容そのものに新鮮味がなくとも、総括としてのエンディングが伝記として機能してくれるのであれば、まさに「生き様を乱世に刻む」体験ができると思ったのである。筆者が求めていたのは、ゲームソフトを用いたプレイングの客観的な「解釈」であり、「物語化」であった。
ところが蓋を開けてみると、スターウォーズの字幕よろしく年表が表示され、操作していた武将がたまに一言コメントを残すのみ。
しかもそのコメントの種類が非常に少なく、出世したという記録がでてくる度に「頑張っていれば誰かが見てくれているということだ」などという他人事みたいなセリフが繰り返される。
いくらなんでもお粗末である。せめて一つの出来事につき5種類くらいのセリフがあれば随分印象は変わっただろうに、そんな時間さえもなかったというのだろうか。
まあ開発側の事情が何であったにせよ、このエンディングのおかげで本作の主人公はいまだに大名であり、筆者は武将プレイの新しいゲームを遊んでいたわけではなく、信長の野望 創造』に武将として参加していたに過ぎなかったのだということがよく分かった。

 
・次に内政である。こちらは変化が足りない。


筆者ははじめ本作の内政を「武将プレイの新作」として解釈し、その大きなウェイトを占めるはずの領地内政が思いの外早く終わってしまうことに困惑していた。

しかし、本作が飽くまで大名を主役としてデザインされていることを考えると、領地内政や城下町の内政は大名になるまでの繋ぎとして用意されたものであると考えた方がよいと気づける。
権限で大名に大きく劣る武将としてそのまま『創造』を遊ばせたのでは何もやることがなくなってしまうというので、大名と同じような楽しみを追加できないかと考えた末の結論であろう。
この試みは確かに機能している。家臣は己の領地を、城主は己の城を、そして大名は己の国を経営するという形で、やることは同じでもその対象を変えることで住み分けているのだ。

プレイヤーはいまや用意された大名としてだけではなく、大名家を打ち立てるという部分からSLGを遊べるというわけである。
『創造』はシンプルながら面白いゲームであったし、リプレイ性も高かった。

だからこういう作りにして面白いはずだと考えるのも、実はそれほどおかしな話ではない。しかし実際に遊んでみると、本作は妙に作業くさいゲームになってしまっている。
というのも、家臣、城主、大名の三つの内政のどれも大した違いが無いにも関わらず、この三つが隔絶しているからである。

家臣プレイのさいに育てた領地は、武将プレイでは序盤にちょっと家計を助けてくれる程度であり、城主時代に私財を投じて作り上げた居城も、大名になって勢力全体のことを考えるようになれば、もはや数ある城の一つでしかない。

人生というのは、たとえ戦国の世であっても短くはないから、全てがドラマチックな時ばかりというわけにもいかない。そんな中で良い刺激となるはずの出世が、本作では単なる「仕切り直し」なのだ。

筆者は本作の内政そのものの出来がそう悪いとは思っていない。『創造』の系譜であることを考えればむしろ正当な代物だと思っている。

が、現状ではあまりに変化に欠けている。特に領地と城下町で建てられる建造物が同じというのは、センスが欠如していると言わざるをえない。

たとえば領地内政の時にしか建てられない「忍者屋敷」を立てることで、出世した時に諜報にアドバンテージがあるといったような、各段階でのオリジナリティが必要だ。全てが「石高」「金銭」「兵力」(本作では木材と鉄も追加されたが、本質的に同じなので省く)に集約されるという創造のアイデアは、ここでは捨てるべきであった。せっかく領地を引き継ぐのだから、領地そのものが武将の個性となっていくようなシステムに出来なかったものか。

 

・追加要素として最後に書くのは、合戦についてだが、これはなかなかどうして悪くない。合戦は前作で完成したと思っていただけに、嬉しい誤算であった。

 

何より意外だったのは、まるで楽しさの分からなかった無印時代の陣形変化が、本作では部隊の正面からのぶつかり合いにおいて、駆け引きとしてしっかり機能していたことである。

「これがやりたかったのか」とようやく制作側の意図を解した気分であった。(不利を悟って退却を始めた敵の背中めがけて、陣形を突撃に向いたものに変えて騎馬を突っ込ませるのなどは、なかなかのカタルシスである)

攻城戦も面白い。大軍であっても強固な城を落とすのは簡単ではないし、逆にこちらが小勢で援軍も期待できないような状況でも、必死で築き上げた鉄壁の城があれば、いい勝負ができる。
たまに「無人の櫓からダメージを受けるのはおかしい」という意見を見かけるが、それはそもそも無人ではないのであろう。

複数の方向から敵が攻めてくる状況で、せっかく作った櫓に誰も詰めていないと考える方がおかしい

確かに櫓などの施設に武将の率いる部隊が近づくと効果が増すが、これはもともと詰めていた守備要員を鼓舞するなり、的確な指示を飛ばすなりしていると十分解釈できると思うのだが。(グラフィック的に誰も表示されていないと言うかもしれないが、そんなことを言い出したら、部隊の人数なんてどう見ても足りないし……)

 

・総評に入る前に、今後のアップデートについても述べておこうと思う。


筆者が一番期待しているのは6月に配信が予定されているイベントエディタである。CS機にも実装されるようで、太閤立志伝ほどの自由度は期待できないとは思うが、それでも本作武将プレイの味気無さを軽減するのには随分役立ってくれると思う。

現段階では家臣プレイだと大名家のイベントがほぼ発生しない仕様なので、そこは修正してもらわねばならないが。

イベントエディタについてはそう悪いものにもなるまい。筆者が心配するのはシステム面での変更の有無である。
先に上げたような内政の改良など、本作にはシステムの面でもいじるべき部分を多く残している。その多くが、太閤立志伝からの差別化を志したゆえかのように思える、「物語性」つまりRPG的要素の排除に起因している。

武将同士の交流が不自然なほど無機質である部分など、もはや意図してやっているとしか思えない仕様が多々ある。これらの変更は、イベントエディタではどう頑張っても限界のある部分であり、公式のアップデートに期待するしかない。

無料アップデートでどこまでのことが出来るか、本作はフルプライスなのでまだそのあたりも期待できると考えたい。

 

・以上でおおまかに述べたので、総評に入るとしよう。

 

本作の最大の問題点は、ゲームの善し悪しそのものではなく、販売戦略の一環として太閤立志伝のイメージを喚起しすぎたところにある。

タイトル、キャッチコピー、商品説明、価格のどれをとっても、『創造』とは別物のRPG的な要素のある新作を思わせる。いくら太閤立志伝とはちがうものだと言われても、それに似た何か、近い何かを期待するなというのは(同シリーズの新作が長らく発売されていないことを考えにいれるとなおさら)酷というものであろう。

本作のここ(某ゲーム通販サイトね)での評価が悪いのも、RPGとして本作を評価したとき、その点数が限りなくゼロに近くなることと無関係とは思えない。

一方で、純粋にSLGとして見たならば、本作は『創造』に悪くない追加要素を足した作品であって、決して駄作の烙印をおされるべきではない。

特に『創造』シリーズを未購入で、無印、PK、本作いずれかの購入を検討している方であれば、筆者は迷いなく本作をおすすめする。

『創造』との差額として見た時に暴挙と映る九千円も、単体での新作と見れば、和製ゲームとしてもやや高いという程度の認識にとどまるだろう。

これからのアップデートでRPG的な要素が多少は追加されることを思えば、『創造』のSLG上位互換としての本作を遊べるのは今だけ、ということになるかもしれない。

今はSLGを楽しみたい人だけが購入すればよろしい。
キャッチ通りに武将の生涯を楽しみたい人は、少なくとも6月末のアップデートまでは待ったほうが良いだろう。その頃には、本作がどこまで良作に近づけるか分かっているはずである。