雑炊閣下備忘録

ブログというものを始めてみることにした。どうなるか分からないが、いろいろやってみようと思う。

コンシューマゲームを振り返る2019

こ(以下略)

 今更感がすごい企画だが、遊んだゲームを思い出すのは楽しいのでやっていく。

 

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン

 シリーズ久々の新作。

 SNSでも空の表現の美麗さで話題になっていた。

 STGにエース体験を加味したのが特徴なので、あの手この手でプレイヤーを誉め倒してくる。

 どれだけ誉められても「もっと誉めろ」という欲求が止まらず、誉められるために多勢の人間が乗った軍艦を必要もないのに撃沈する自分も、しょせんは承認欲求モンスターなのだなと悟らずにはいられない名作。

 不自由めのミッションが多いのと、僚機が無能なのは残念だった。

★★★☆☆ DLCでは多少マシになった

 

ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~

 SLGに振ったアトリエ。

 正直シリーズにどっぷり浸かったわけではないので知らないキャラも多いが、ゲームとしてちゃんと面白かった。

 システムの一部とか演出とか見るに、もともとスマホ向けに開発してたじゃないか疑惑がある。

 最初が割と育成シミュっぽいシリーズだっただけに、こういうのをまだ作りたいという欲求があるというのは、シミュゲー好きには嬉しいことだった。

★★★☆☆ 今後も期待

 

信長の野望 大志 パワーアップキット

 農業と兵力の関係など、無印は目の付け所は良かったが細部が甘かった印象。

 パワーアップキットも何かイマイチ足りない感じが付き纏う。

 無印から明らかにパラドゲーなどを研究してきており、もう少しこなれれば、という感じ。

 コーエーSLGはあと一作か二作で傑作が出そうな気配があり、頑張って欲しい。

★★☆☆☆ 予算が削減されているという悲しい噂を聞いた。

 

・ルルアのアトリエ ~アーランドの錬金術士4~

 アーランドシリーズまさかの続編。

 しかも主人公ルルアはロロナの娘という攻めた設定で、シリーズファンを騒然とさせた。

 蓋を開けてみると養子という日和った設定だったのは分かってはいたが残念。

 懐かしいキャラクターたちがたくさん登場し、調合や戦闘も面白い。

 一方で影も形もなくなったジーノくん始め、ルルアの出生で日和った割にはちょっと雑なところもあるのが良くも悪くもガストらしい。

 余談だが、作劇の都合か、こういう親になった元主人公はだいたい家を留守にしており、生活力がないことが多い。

★★★☆☆ 男キャラはホント不遇だよね

 

スーパーマリオメーカー2

 公式マリオ改造ツールの発展版。

 今日も敗北し妹が死ぬ

 4人のプレイヤーを同時にステージにぶちこんでクリアを競わせる「みんなでバトル」という地獄のようなオンライン対戦機能を搭載しており、人間の醜さをこれでもかと思い知らされる。

 黒い任天堂などというが一番黒かったのはプレイヤー自身だったいう嫌すぎる事実を突きつけた意欲作。

★★★★☆ みんなでバトルを遊んでいると罵詈雑言が口をついて出る

 

ファイアーエムブレム 風花雪月

 シリーズとしては久しぶりの据置新作。

 発売前にはグラフィック演出の微妙さが叩かれたりもしていたが、覚醒以降の記号っぽいキャラクターからは脱却しており、それぞれに愛着が持てることから好評。

 ついでにそいつらが殺し合うため、合法的に死際のセリフも聞けるのがいい。

 学園ものとしてはやや珍しい、主人公が教師という設定であり、育成ゲーとしての側面も持っている。

 特筆すべきはそのテキスト量の多さで、キャラクターの組み合わせによって指数関数的に増える支援会話カバーしている上に、細かいイベントによる状況の変化が反映される狂った仕様で、これを書くのにどれだけの労力が費やされたのか想像もつかない。

★★★★☆ でも制作はコーエーシブサワ・コウチームだったとか。次も期待できるかは怪しい。

 

DAEMON X MACHINA

 フロムがいつまで経ってもACの新作を出さなかった結果、離脱したスタッフが作ったロボゲー。

 おおむねACだが、あちらより軽めの作風。

 ロボの描写は凝っていて、レールガンの発射後の排熱とかカッコ良すぎて絶頂する。

 動きとしては欧米人がやりがちなずっしりした重厚感のあるロボではなくて、こんなのいたら戦車も航空機も不要ですわ的な高機動系。

 難点はとある理由で戦場がたいてい赤土の大地に緑がかった空だっていうことと、AI相手の戦争中という設定なので人類の団結度が高く、マヌケはメキシコでしぬ的な殺伐さが足りないこと。

 やっぱり青空を飛んで雲を突っ切ったり、大海原でこちらに弾雨を浴びせてくる第八艦隊を単機で撃滅したりしたかった。

 続編は是非爽快感のある血みどろの戦争をやって欲しい。

★★★☆☆ ロボゲー好きなら4つでもいいかもしれない。

 

ゼルダの伝説 夢をみる島

 かつてGBで発売した異色ゼルダのSwitchリメイク。

 細かいバグまでわざわざ仕様として再現してある凝りっぷりで、リファインされたBGMはかなりレベルが高く、即座にサントラの購入を決意したほど。

 内容としてはいつもの2Dゼルダで、まあ基本原作通りなので当然のように出来はいいのだが、出来が良いだけにかえってBotW以前のゼルダの欠点を浮き彫りにしている印象があった。

 たとえばある大きさの穴を超えられない時に、自分の操作の腕が拙いから超えられないだけなのか、それとも必要な道具を手に入れていないのかを把握する手段がなく、諦めがつくまで挑戦するしかないところなどが挙げられる。

 BotWだと最初に使う道具を一式与えられるので、必要な何かが足りないということはまずなく、存分に考え込むことができた。

 もうあの頃のゼルダがメインストリームとして帰ってくることはないんだなーと悟った一作。

★★★★☆ ラストシーンはやはり切なかった

 

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S

 

 ドラクエXIの完全版。

 さすがにPS4と比較してグラフィックは劣ったが頑張っていると思う。

 内容的には完全な上位互換だが、エマを連れ回せない等、PS4版がもとになっているため3DS版の要素はオミット気味なところもある。

 特筆すべきは独特の周回? システムで、周回というよりはタクティクスオウガの「運命の輪」みたいな、好きな場所からシナリオを遊び直せますよ、みたいなものが不完全な形で載っている。

 2Dと3Dの切替時に起きるところや、進んでいるところより前のシナリオに巻き戻したら、このシステムで再び先にすすめることは出来ない(普通にプレイする必要がある)ところ、ゲーム史上まれな「すべての宝箱等のアイテムが復活する」仕様などを見ても、3DSPS4の切り替えをうまく実装できなかったことが伺える。

 レベルやアイテムや装備品は引き継げ、特に目立ったバグはないあたり、プレイヤーに不利益がなければもういいって感じでGOサインを出したのだろう。

★★★★☆ エマが好きなやつはごく少数なのでオミットされたとか言わない

 

・ペルソナ5 ザ・ロイヤル

 

 P5の完全版。

 出るタイミング早くねーかと思っていたら、P4Gとスパン的には変わらないという事実は、月日の移り変わる早さを実感させてくれる。

 新キャラの芳沢ちゃんは加入がやたら遅い割にシナリオへの露出は多く、やたら気合の入った変身シーンもあって好き嫌いがはっきり分かれる印象。

 ちなみに俺は嫌いではなかった。

 というか男は嫌いではないと思う。

 一番何とかしてやって欲しかった竜司の言動についてはあまり変わらず、彼を見ていてなんか辛くなってくるのは俺が年をとったからか。

★★★★☆ ついでに明智にマジで友達がいないことも発覚している

 

スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー

 

 EP3~4の間を描いたジェダイもの。

 未熟なパダワンだったが何とか難を逃れ隠遁している青年カルを主人公に遊ぶアクションRPG……という設定を聞いたら勘のいい人はだいたい分かると思うが主人公が弱い

 スター・ウォーズのゲームなんて最初からやりたいことはだいたい決まってて客の中でイメージは出来ているもんなんだから、フォースグリップも初期では使えないというのは本当にどうかと思う。

 あと、ダークソウルとかあっち系をリスペクトしたのは分かるのだが、ああいう厳し目のゲームデザインは明らかにキャラゲー向きではないし、製作者の作りたいゲームと俺の遊びたいゲームが見事に乖離した印象がある。

 もし何か参考にするとしたらそれは間違いなくウィッチャーだった。

★★☆☆☆ でもバカ売れしたからこの路線で続編出すんだろうなあ

 

ポケットモンスター ソード シールド

 

 ポケモン新作。

 発売前はポケモンのリストラ案件で物議を醸していたが、発売後は驚くほど女主人公(ユウリ)の着せ替えの話題一色となった。

 初期のデザインが可愛すぎてどんなコーディネートをしても全く敵う気がせず、当時それなりになんとか出来たと自負していたデザインを久々に起動して見返すと「なんか……うん、まあ……」みたいな微妙な反応を自分でしてしまった。

 スポーツとしてポケモンバトルを描いており、ジムリーダー戦の観客の合唱が入る演出とかは極めて秀逸だと思う。

★★★☆☆ 次回作あたりガラッとプレイ感が変わりそうな予感がする

 

・十三機兵防衛圏

 

 2019年最優秀作。

 ヴァニラウェアの新作ということでチェックはしていたが発売当日はヤバいくらい話題になっておらず、マジで会社が傾くんじゃねえかと心配した。

 実際遊んでみると最初の二時間くらいは「これは……ハズレを引いちまったか……?」と自分のことよりヴァニラウェアが心配になって冷や汗をかかされたが、その後は加速度的に面白さが増していった。

 キチガイじみたシナリオの作り込みや、最初のシナリオで垣間見えた実験的な試みなど、とにかく制作陣が狂気を持って打ち込んだことが伝わってくる異常な作品

 この期に及んでまだプレイしていない不感症にいまだにやれというほど俺は親切ではないが、最優秀作品だとは書いておく。

★★★★★ 星雲賞取れるといいね

独断と偏見で選ぶおすすめ映画 ~アクション編~

友人からリクエストがあったので、一つこれで書いてみる。

個人的に良いとは思うものの、近年の話題作で誰でも観ているであろうというものは省いている。

 

 

ジョン・ウィック

johnwick.jp

 アクション部門最初のおすすめは『ジョン・ウィック』だ。

 この手の映画は要約が非常に簡単なことが魅力の一つで、本作も例に漏れず、キアヌ・リーブスが出て殺す映画と一文未満にまとめることができる。

 まあ、それだけならば最近テレビでもあまり見なくなったセガール映画のイケメン版でおしまいなのだが、本作はこういった無双系アクション映画として異色といえる要素がいくつかあり、セガール映画に飽きた人々にもおすすめできる一本と言える。

ジョン・ウィック』見どころ

  • 洗練されたアクション … カンフーは銃口の前に敵の頭を持ってくるアート
  • ビビる悪役 … 相手の正体を知った瞬間から半分諦めてるマフィアたち
  • 死ぬチンピラ … 物凄い勢いで敵が死んでいく
  • 強さがほぼギャグ … 制作陣が自覚しているあたりもポイント

 なお本作には続編が存在し、そちらの内容もキアヌが出て殺す映画となっている。

 本作との違いは、続編の方がより殺すようになった点。

 

インセプション

warnerbros.co.jp

 おすすめ二作目にしてすでにアクションかどうか怪しいが、一作目があまりに頭を使わない映画だったためこちらに入れてみた。

 監督はクリストファー・ノーランダークナイトの人といえば分かる人は分かるだろう。

 本作は他人の夢の中に侵入できる技術が実用化された近未来を舞台に描かれる心の冒険譚なのであるが、難解ながら確かにこれ以外に映像で表現する方法はなさそうと納得できる作り込みがなされており、構想に二十年を費やした甲斐のある出来となっている。

インセプション』見どころ

  • 夢の中を描く映像表現 … 予告映像でも分かるとおり独特
  • 遠くて近いテーマ性 … 誰もが持つが誰も立ち入ったことのない「心の世界」
  • 作り込まれたシナリオ … 設定を必要十分に開示しつつ、物語性も十分
  • 印象的な音楽 … さすがにウィリアムズ御大ほどではないが耳に残る

 筆者としては大いにおすすめしたい映画ではあるのだが、ちらっと書いたように本作は難解なので、気を抜いて観るのには適していない。

 心理学に興味のある方などはこういったハードルがやや低くなるだろうから、ぜひご覧になって頂きたい。

 

96時間

movies.foxjapan.com

 小難しい映画を紹介したので、再びIQを下げていこう。

 『96時間』リーアム・ニーソン扮する元諜報員の親父が、娘(17歳)を誘拐したアルバニア人の悪の組織を皆殺しにする映画だ。

 この手の映画で繰り返し語られてきた通り、悪事を働く場合は相手をよく見るのが大前提であり、これに失敗すると悲惨な結末が待っている。

 普段はあまり尊敬されていない父親が実はめっちゃ強く、悪人どもを叩きのめして娘からの信頼を取り戻すというありがちな筋だが、ジョン・ウィックと比べるとこちらは守るべきものを取り戻す戦いなので、まだあんまり人が死なない

『96時間』見どころ

  • 省略 … だいたい分かると思う

 

ハムナプトラ 失われた砂漠の都

eiga.com

 割と有名な冒険系アクション。原題は『MUMMY』(ミイラ)なので邦題はずいぶん大胆な変更をしたものだと思う。

 幻の都ハムナプトラに眠る財宝を手に入れんとした冒険者たちが、図らずも伝説の魔人を復活させてしまうという筋。

 シリーズ化されており、観た限りでは3作目まで作られていたはずだが、面白さとしてはこの一作目が頂点だ。

 古い映画だがVFXの使い方が上手いので、今見ても違和感が少ない。

ハムナプトラ』見どころ

  • 古代エジプトの神秘 … 描かれていることの八割はデタラメだと思う
  • 迫力の映像表現 … 魔人の超能力等、必見シーンがいくつも
  • 結末 … この手の映画は聖人ぶったオチが多いが、このシリーズでは違う

 ちなみに三作目では舞台が中国となっているが、邦題はハムナプトラ3』

 どうしようもなかったことが伝わってくる。

 

コンスタンティン

warnerbros.co.jp

 最後におすすめするのはまたもキアヌ・リーブス主演の映画。

 キアヌに始まりキアヌに終わるというわけである。

 天使と悪魔が暗闘する現代社会を舞台に、余命幾ばくもない悪魔退治の専門家が、上に対して「点数稼ぎ」のために最後の仕事に乗り出す物語だ。

 原作がコミックのためか細かい背景設定の豊富さを思わせる演出が多く、好きな人にはたまらないオカルトアクションとなっている。

コンスタンティン』見どころ

  • 魅力的なキャラクター … 天使・悪魔・人間どれも個性的で印象に残る
  • オカルト要素 … 聖槍がちゃんとナチスの国旗に包まれて登場したり
  • 冒涜的なエクソシスム … 神の存在を知っているだけで信じてはいない主人公
  • ダークな世界観 … 天使の翼ですら純白ではない

 日本の漫画作品みたいな雰囲気すら漂っているが、原作からして普通にアメコミである。

 メガテン等が好きな日本のオタクには受けると思うのだが、あまり売れ行きがよくなく、続編の企画はポシャったらしい。(別にドラマシリーズがやっているようだが)

Stellaris ぱーそなる初心者講座 for 2.2~

 2.2についてのガイドがまだないので執筆。

 いちおう惑星内政はこれで完成。

 交易や市場については希望があれば書く。


※この初心者ガイドは筆者独自の研究と見解をベースとしたもので、対応はver2.2.1となっています。


 Stellaris2.2ではゲームの内政要素が激変し、各所から悲鳴が上がっている。当ガイドはこれに対処し、プレイ人口を少しでも増やすことを目的として執筆されている。

 筆者自身による経験をもとに書いているため、誤っている箇所などあるかもしれない。コメント欄での指摘を期待している。


はじめに 

 Stellarisはかなり頻繁にアップデートが施されるゲームで、発売からおよそ二年半が経過した2018年12月17日現在、すでに9回もの大型アップデートが実施されている。
 これらはそのたびにゲーム性が大きく変わってしまうほどのもので、当然ながら採るべき戦略、場合によっては基本的な操作すら異なるものとなる。
 もし上記の対応バージョンが最新でないなら、ここに書いてあることはそれほど信頼できないと考えるべきだ。
 また、βを利用して過去バージョンで遊ぶ場合も、記述内容と大きく異なる仕様になっている可能性がある。
 ここに書いているからといって真実だと思い込まないように。最終的には自分で戦略を見つけられるようになろう。

 

 

 

 

 惑星画面のみかた

 2.2で見事なまでに変化を遂げた惑星内政について解説する。

 まずは画面を見てみよう。

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惑星内政概観

 一見して分かる通り、惑星内政画面はこれまでと比較して格段に情報量が増えた

 ゲームシステムを把握しかねるプレイヤーが多いのも無理からぬものがある。

 ここでは、まず視線を向けるべきポイントを、重要度順にマークしてある

 慣れないうちはここだけ見ていればよい。以下に詳説する。

 

①安定度

 安定度はその惑星の状況を端的に表した数値だ。これ自体が生産力等に影響を与えはするものの、基本的には結果を表す値だと考えて良い。

 つまり内政がうまく回転していれば高く、逆に何らかの対処が必要なら低くなるいうことだ。

 

②人口と職業枠、快適性と住居

 ここに記されているのは、惑星の状況として最低限抑えておくべき情報だ。

 まず上の段に2つの人形マークがあるが、これは左側が人口、右側が職業枠を表している。

 職業枠の数が人口を下回ると当然失業者(下の鞄マーク)が出るが、これに関してはあまり慌てないでほしい。

 失業者の数よりも、今の人口と職業枠という別個の値として把握するのが望ましい。(理由は後述する)

 さて、その下側には左から快適性と住居の値が表示されている。

 これらは特に理由がなければ充足させるのがよいが、たとえば-1や-2ていどの不足ならば、ある程度放置しておいて構わない。(特に安定度が十分に高ければ)

 安定度が低い場合、短期的に改善可能なのがこのゾーンの情報だが、たいていの場合、安定度は志向の乖離や居住性の悪さが原因となっている場合が多いので、ここをどうにかしてもどうにもならない事が多い。

 

③区域

 見た目は地味ながら、惑星内政の中核を成す部分。ここの配分がその惑星の性格を決めるといっても過言ではない。

 2.2以降の惑星内政では惑星の特化が鍵となるため、区域の配分は開発の初期段階から構想しておくべきだ。

 

④資源生産量、消費量

 惑星全体の資源収支が表示されている。資源が大きなマイナスを示した時などに、各惑星が期待される役割を果たせているかの簡単なチェックが可能。

 

 他の部分、たとえば中央に広いスペースを割かれている建物とスロットなどに関しては、ゲーム開始時点では無視して構わない。

 まず①で惑星の状態をチェックし、②で人口と彼らの満足度を確かめ③の区域で内政を行う

 という流れを一連のものとして覚えておこう。

 

化内政のやり方

 本バージョン(2.2~)では、かつてタイル内政で行ったように漫然と建物を建てていくのではなく、何を建設するかの取捨選択が重要になった。

 初心者が陥りがちなミスとして、惑星に新しいスロットが出来たからと、深く考えずあらゆる惑星に新施設を建造してしまうことが挙げられる。

 これから解説する特化内政においては、何を建設するか以上に何を建設してはいけないかが重要であることもおさえておこう。

惑星の特化 1-1:構想~資源惑星

 惑星を特化するにあたっては、まず将来的にどのような惑星を望むかを考えねばならない。これは帝国全体の需要と、惑星そのものが生来持っている特徴との兼ね合いで決まる。

 下の画像を見てみよう。

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入植前の概観

 上の画像は入植前に探査済みの惑星の情報を表示させたものだ。

 帝国の為政者たるもの、この画像一枚から、この将来の入植地が帝国においていかなる役割を果たすか考えねばならない

 大変に思えるかもしれないが、考えるべきことは単純だ。

 まずは区域欄惑星サイズから、この惑星の適性をはじき出そう。

 惑星はそこに建っている区域で決まる。鉱山区域で埋め尽くせば巨大な鉱物の供給源となるし、極端なものでは帝国全体の食糧生産を一手に担う大農地惑星といったものもありうる。

 問題は、惑星自体の性質によって、建てられる区域の種類と数に限りがあるということだ。

 上の画像では、電力、鉱山、農地の3つのうち、明らかに鉱山区域の□の数が多い

 これは、惑星を資源惑星として開発する場合、鉱山惑星にすれば伸びしろが大きいということだ。

 逆に、3つしか枠のない電力惑星としては最終的な出力をあまり期待できない。

 農地についても同様だ。

 こういった種類ごとの区域制限に加え、惑星が持てる区域の総数はサイズによって制限されるため、たとえば上の画像ならば、障害物等を排除した状態でも合計12の区域しか建てられず、鉱山と農地を限界まで建設した場合、電力区域は一つ建設した時点で上限に達する見通しとなる。

 大きな生産量の期待できる鉱山区域の建設は決定事項として、農地か電力か、どちらを優先するのか帝国の需要に基づいて決断することになるだろう。

惑星の特化 1-2:構想~都市惑星

 

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再掲

 さて、ここまで資源惑星としての見通しを解説したが、実は惑星の特徴に関わらず、常にサイズの上限いっぱいまで建設可能な区域がある。

 一番左に表示されている都市区域がそれで、言ってしまえばどんな惑星でも都市にすることは簡単なのだ。

 どの区域にも適性のない惑星を都市惑星にすると、資源を有効活用できるということがここから分かるだろう。

 とはいえ、手軽に作成可能な都市惑星は、莫大な資源維持費を必要とするという別の問題を抱えている。

 これは都市惑星自体が、基本資源を吸収し、加工品に変換して吐き出すという役割を担っているためだ。

 研究力の確保や軍事力の整備など、帝国としての活動に都市惑星の生む加工品は必須になるが、確固たる基盤なくしてこれを保有することは困難だ。

 資源惑星の確保を第一とし、それが整ってから都市惑星の整備を考えよう

惑星の特化 2:区域建設

 ではいよいよ、惑星内政の具体的な手順について見ていこう。

 下の画像は、さきほどの惑星に入植した直後のものだ。

 

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最初の惑星に入植した時のもの

 先程の順番に従って見ていこう。

 まず①安定度は66%と悪くない水準だ。入植早々のトラブルはとりあえずないらしい。②を見ると、快適性も住居も足りており、職業枠2に対し人口2と枠も充足している(ただしどちらもあまり余裕はない)。そこで③を見ると、まだ一つの区域も建っていない。資源生産④は当然0で、むしろ消費財のタダ飯を食らっている。

 内政の対象として見たとき、この惑星の問題は明らかで、要するに資源を全く産していないというこの点を早急に解決する必要がある。

 事前の見立てで、この惑星は鉱物生産に優れるだろうと結論が出ているので、まずやるべきなのは鉱山区域を建てることだ。(建物はスロットに空きがないため建てられないが、あったとしても最後に考えればよい。資源惑星を建設するときは、まず区域を中心に考えよう)

 今回の内政システムでは区域そのものが資源を産するのではなく、「区域が持つ職業枠に割り当てられたPOP」が生産するため、たとえばここで限界いっぱいまで鉱山区域を建てることに意味はほとんどない。

 前バージョンまでの経験者ならば空きタイルを建物で埋め尽くす無意味さを思えばよい。枠だけあっても、人口が足りていなければ意味がないのだ。

 画像では一気に3つ建てているが、これは職業枠にすると6枠に相当する
 初期からいる画像の2POPは管理業務にあたっているため、この時点で惑星に「鉱員」職についているPOPは一人もいないため、POPの成長速度を考えて、とりあえず6枠あれば十分と考えられるためだ。

 もちろん、しばらくは空き枠が存在することになり、経済的にお荷物だが、いちいち確認するのも面倒なのでこうしてある。

 なお少しでも人口増加を促進すべくとれる手段はいくつかある。

 これについては人口のコントロールの項目にて詳説する。

 

 惑星の特化 3:建物の建設

 植民地が成長してくると、POP数に応じて建物スロットが利用可能になる。

 惑星を特化させるにあたっては、ここでの取捨選択が重要となる。

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資源惑星に最初の建物を建てるところ

 上画像は「トーローピル」(長いのでプライムは削った)に建てる建物を選んでいる場面だ。ここでは快適性と住居を確保すべく、「豪華な住居」を選んでいる。

建物の選び方

 惑星に建てられる建物は、職業枠を提供するものと、しないものとに分けられる

 上画像にある「豪華な住居」はしないものの代表だ。基本的に、職業枠を提供しない(=惑星のPOPの職に影響を与えない)建物はどんな惑星に建ててもよい。一方、

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首都の建物

このように職業枠を生じるもの(画像の「合金工場」では、「冶金技師」の職業枠が2枠発生することがわかる)は、計画的に建てないと経済の破綻をまねく

 これは、こういった加工職は「専門家(中流)」の階級に属するため、「労働者(下流)」階級である鉱員等のPOPの転職を招き、基本資源の生産量は減少したのに、需要は増加したという状態に陥るからだ。

 本記事で特化内政をすすめているのも主にこれが理由で、資源惑星に加工施設等の中流以上の職業枠を生じさせる建物を建造することは、基本的に悪手と考えてよい。

 ある惑星に建物を建てる場合、その建物が既存の職業から人手を奪ってしまわないか、言い換えると、その惑星に期待されている生産物の増収に繋がるか、をつねに念頭に置いておくと判断が容易だ。

資源惑星の建物

 資源惑星には、その惑星に作っている区域と同じ資源を生産する建物(つまり鉱山系、農場系、発電系)を建設しよう。

 快適性や住居が足りなくなってきたら、上で紹介した「豪華な住居」などで補えば良い。もっとも維持費も馬鹿にならないので、安定度が十分なら放置してよい

 また、資源惑星は建物よりも区域に依存する部分が大きいため、スロットが解放されても、産出資源に関するものが選択肢にないなら、別に無視しても構わない

 空きがあれば何か建てたくなるのが人情だが、必要以上の投資をしないことも立派な選択である。

 また、資源惑星は建物と区域により、以下の分類がつき生産量にボーナスがかかる。

  • 農耕惑星:食料に特化。
  • 鉱山惑星:鉱物に特化。
  • 発電惑星:エネルギー通貨に特化。
  • 郊外惑星:労働階級特化(つまり汎用強化)。ただし効果は他の半分。

(※郊外惑星を除き、効果は該当職の生産力+5%)

 これらの分類は区域と建物のバランスが変わることで容易に変化してしまうため、郊外惑星以外を狙う場合は少し注意しよう。

都市惑星の建物

 都市惑星は、どれも都市区域しか建設しないという点では共通している。

 したがって、都市惑星のさらなる分化は、どの建物を建設するかによって決定されるといえる。

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新しい都市惑星

 何を建設するにせよ、資源を吸収し、完成品を吐き出すという役割を持つことは共通している。

  ゆえに、原材料となる資源が不足している状態で優秀な都市惑星を保持することは難しい。ゲーム開始時点での首都惑星は都市と資源区域が並立するハイブリッド惑星であり、自足している。これは遠くない将来に足りなくなるので、首都星がまかなえているうちに、資源惑星を確保しておこう。

 さて、建物で生じる職業枠はほとんどが「専門家(中流)」階級に属し流動的なため、都市惑星間の特化については、資源惑星ほど神経質になる必要はない

 しかし、都市惑星を以下に挙げるいずれかの領域に特化されると、それぞれに応じた分類名がついて生産量に(そこまで大きくはないが)ボーナスがつくため、特に理由がなければこれも特化を目指すとよいだろう。

 都市惑星は、以下の用途に特化できる。

  • 精錬惑星:合金生産に特化。
  • 精製惑星:エキゾチックガス等の戦略資源に特化。
  • 工業惑星:消費財に特化。
  • 学術惑星:研究力に特化。
  • 要塞惑星:防衛軍に特化。爆撃や地上戦に強くなる。
  • 都市惑星:専門階級特化(つまり汎用強化)。ただし効果は他の半分。

(※都市惑星と要塞惑星を除き、効果は該当職の生産力+5%)

 このうち、早くから確実に用意しておきたいのは精錬惑星と学術惑星だ。精錬惑星は軍備や拡張に必須の合金を生産してくれるため、これがないと戦略上の不利は免れないし、学術惑星が一つもないと技術力で他国に差をつけるのは難しいだろう。

 さて、肝心の特化の方法だが、これも特に難しいものではない。単に必要な資源を生産する建物ばかりを選べばよいからだ。

 特化惑星では、基本的に同じ建物が立ち並ぶのである。

 上にも書いたが、何を作るにしても、特化惑星には莫大な維持費がかかるため、帝国全体の余力を常に考慮しながら、タイミングをはかって開発していこう。

 スロットが空いたからと建造に飛びつくのは禁物だ

人口コントロール

 Stellaris2.2以降では、タイル時代よりも遥かに多い職業枠にPOPを割り当てることによって資源が生産される。

 ここまでは職業枠の用意について解説してきたが、もう一つ、POP数の管理も学ばねば、新しい内政を取り仕切ることはできないだろう。

必要な人口を考えよう

 POPの数をコントロールする上で重要なのは、具体的にどの程度の人口が必要なのかと考えることだ。

 たとえば都市惑星では、都市区域が快適性と住居を(事務員職によって)提供してくれるものの、肝心の特化には建物が必要であり、多くの建物を建てるためには非常に多くのPOPが必要となる。

 建物スロットは5POPごとに解禁され、たいていの建物は2つの職業枠を提供することを考えると、惑星の総人口は資源生産に実際に関わる人口の倍以上となる。

 一方、資源惑星であれば、区域の生み出す職業枠にPOPが充足していれば良いのだから、資源生産に関わる人口と総人口にはほとんど差がない

 都市惑星は必要な人口が多いため、早いうちから入植しておかねばならないが、未熟な植民地であっても維持費はしっかりかかるため、資源惑星の開発も急がねばならない。

 これはなかなか難しい問題だが、戦略を立てるとするなら、なるべく早く資源惑星を完成させ、その後は都市惑星に人口を集中させるというものになるだろう。

移住の活用

 上で書いたように、資源惑星は出来るだけ早く完成させねばならない。

 工夫の仕方はさまざまだが、ここでは移住を用いる方法を紹介する。

 まずは惑星画面の人口タブを開いてみよう。

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首都惑星の様子

 これは1つ目の植民地に入植した時期の画像だが、その植民地「トーローピルプライム」に向けて移住者が発生していることが分かる。

 次に、受け入れ先のトーローピルを覗いてみる。

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トーローピルの様子

 このように、首都惑星から流出した人口が流れ込んでいることが分かる。

 移民が流入していると、人口増加速度にこの値が加わるため、十分であればぐっと人口増加が早くなる。

 なお上の首都惑星でも、人口は流出しているがもとの増加速度を凌ぐほどではないため、ペースダウンしつつも人口は増えていく。

 新しい入植地はそれだけで移民に対し魅力的になるが、ではさらに移住を促すためにはどうすればいいのだろうか。

移住の制御

 上の画像にあるように、移入、移出に関してはそれぞれ促進する要素がある。

 移入を促進するのは余剰の住宅や安定度であり、

 移出を促進するのは犯罪度や無職のPOP数である

 ここから考えられる移民方策は、新しい植民地に「豪華な住居」などを建設して魅力のある星にするか、あるいは既存の惑星の失業者や犯罪を敢えて放置することで、POPが自発的に出てゆくよう促すことだ。

 特に首都惑星は安定度にボーナスがかかっているため、多少の失業者など何の問題にもならない。

 常に失業者ゼロを目指すのではなく、その存在をうまく利用することを覚えよう

人口増加と統制

 移住を制御したら、人口の増加政策に乗り出そう。

 十分な食料を確保することは最低限として、「政策」画面からPOPの食事の質を上質なものに設定し、各惑星で「成長の促進」のディシジョンを実行してさらなる人口増加を図る(まとまった量の食料が必要)。

 

 さて、こうして人口を増加させてゆくと、いずれ資源惑星が必要とするPOPの上限に到達する。

 ここで必要になってくるのが「人口抑制政策を布告」のディシジョンだ。

 これは僅かな安定度の低下と引き換えに、その惑星のPOP増加を停止させてくれるもので、開発しきった資源惑星では必ず必要となる。

 あまり快適でない資源惑星は、都市惑星に流入する人口の出身地として悪くはないが、あまりに数が多ければ、資源惑星自体の安定度を危険な水準まで下げてしまいかねないからだ。

 人口抑制というのはあまりイメージの良い言葉ではないが、少なくとも現バージョンではこれの使用は避けられない。

 資源惑星が成熟したら、深く考えずどんどん使っていこう。

劇場アニメ・ゴジラについて~怪獣映画の斬新とは何か~

「この文章には、あることの他にないことも書かれている。ここで読んだことは、あくまで『ここだけの話』としておいてもらいたい。ご利用は自己責任で、ということである」

 

 

 劇場アニメ『GODZILLA』シリーズ(以下「本シリーズ」)が完結した。

 個人的に色々と不満が残る出来だったので、初めは演出等についてツッコミを入れようかと思っていたのだが、もっと重要な話があると思ったので書き直した。

 ネタバレ全開なので、観る予定の人はブラウザバックすべし。

 

はじめに

 劇場アニメ『GODZILLA』は、(私の記憶が正しければ)『シン・ゴジラ』公開の興奮も冷めやらぬ頃に制作が発表された、全編3DCGアニメシリーズで、確か去年に三部作中の一作目が公開され、今年の前半に二作目が、そしてつい先ごろ三作目が公開され、無事完結した。

 ちなみに私は、別に楽しみにしていたわけではなかったのだが、どういうわけか三作とも初日に劇場で観ている。

 この身に染み付いた怪獣映画好きの本能なのか、何か運命めいたものが絡んでいるのか。

 ともかく、私は観た。そして失望した。

 端的にいうと、この作品は映像として失敗している。

 見せ場が薄く、尺の取り方のバランスが悪く、人間ドラマも設定も描写が浅い。

 そして、これら全ての理由は、恐らく企画段階での方針設定に失敗したからだと思う。

 

謎の製作体制

 本作の製作においては、その体制に明らかな問題がある。

 以下のリンクに詳しいので、インタビュー中の瀬下監督の発言から、核心的な部分を引用しながら続ける。

gigazine.net

 

 問題の部分はインタビューの序盤に記述されている。

 とはいえ、その始まり方は、怪獣映画の歴史を知る者からすると妥当なものといえる。

 

企画の初期段階で東宝さんから「このアニメ版ゴジラは怪獣プロレスにはしません」という宣言というか、方針確認があったんです。

 少し解説すると、初代以降、子供向けの路線を狙ったゴジラシリーズは、画面をより分かりやすく派手にするため、様々な怪獣を創造してはゴジラの対戦相手としてあてがい、ゴジラと別の怪獣の戦闘シーンを最大の見せ場とした作品を濫造していった。

 これは短期的には大きな反響があったが、子どもたちが成長すると見向きもされなくなり、次世代の子供達は別の娯楽を見つけていたこともあって、時代が下ると共に単に不人気になっただけでなく、シリーズ全体に「子供だましで陳腐」というイメージを植え付けてしまった。

 こうした印象からくる、「怪獣で当時流行りのプロレスをやっただけの安直な展開」を揶揄した表現が、ここで語られている「怪獣プロレス」である。

 この悪印象と怪獣プロレスの悪しき伝統がため、怪獣映画は長い冬の時代を過ごしてきており、平成ガメラシリーズなど時折話題になる作品はあったものの、ジャンルとしては限りなく死に近い状態にあった。

 『シン・ゴジラ』でこうした印象は払拭されつつあるが、東宝側に以前と同じ轍を踏みたくないという思いが強かったであろうことは想像に難くない。

 これに対して瀬下監督は、以下のように述べている。

日本だと「怪獣という存在」と「怪獣プロレス」がどこかでセットのイメージがあって。だからこそ「プロレスをしない怪獣」というのは、大胆な切り口であり、虚淵さんは原案を考えていく段階で、そこを起点にしていました。

  これは怪獣映画について考える上では良い、というか現在では必須の着眼点といえる。

 もはや子供向き作品としての怪獣映画に道はない以上、大人でも楽しめるエンターテイメントとしての研究は必要不可欠だからだ。

 

 ところが、ここから雲行きが怪しくなってくる。

もともとゴジラ映画を見ていない静野さんには、僕と虚淵さんで「ここから先、ゴジラ映画を見ないでください」と伝えました。

(※本作には監督が二名おり、もうひとりは文中にある静野監督、脚本は虚淵氏である)

 この発言に見られるように、静野監督はゴジラシリーズを見たことがない。

 そしてその状態を維持し、

そんな静野さんの「ゴジラが口から火吐くのはどうなのかな」とか、その視点でしか出てこないアイデアが、結果的に、「ゴジラ」シリーズを見たことがないような女性ファンがアニメ版ゴジラを見てくださっているという流れを生み出し、戦略目的は達成できています。(以下略)

 と、「戦略」に向けて活かした旨が語られている。

 この女性ファン云々については大ヒットを飛ばした『シン・ゴジラ』や人気声優の力であって、静野監督のアイデアによるものではない気が大いにするが、そこはまあよい。

 問題は、こうして生み出された「意図的な盲点」がジャンルを研究するという創作活動の一過程に、明らかに致命的な欠陥をもたらしていることだ。

 繰り返しになるが、筆者は本シリーズを全て公開初日に観た。

 その上でいうが、結果として本シリーズは、怪獣プロレスを怪獣映画のエッセンスごと棄却するという完全に斜め下の回答を提示している。

 

 この一因に、ジャンルについて知識もなければ研究もしていない静野監督があることは疑いない。

 「部外者」としての斬新な意見をあろうことか監督に求めるという体制*1は完全に裏目に出ており、怪獣映画の面白さを知らない人物が、怪獣映画を作ることを強制されて出来た映画になってしまっている。

 この件については監督をサポートすべき二者(瀬下監督と虚淵氏)の方により大きな責任がある。

 結局は彼らも、自分たちの知っているはずの「面白さ」を伝えきれなかったという点で怪獣素人に毛が生えた程度と言われても仕方がないであろう。

 こんな三者がトップに立つ制作体制なのだから、結果は火を見るより明らかであった。

 

あがきとSF

 トップが事実上怪獣映画の面白さを理解していない人間の集まりになっているとはいえ、企画としてこれは「ゴジラのアニメ映画」であり、ゴジラを出さざるを得ないし、怪獣映画のエッセンスをほとんど捨ててしまうとなると、ゴジラに関係することで何か別の面白さを導入する必要があった。

 

 ここで生まれてきたのが、怪獣について新しい映像的演出を模索するのではなく、怪獣をSFの一設定ととらえ、それについて掘り下げるという発想であった。

 これだけを捉えても別に斬新なわけではない。

 初代「ゴジラ」の頃から、かくも巨大な生物が存在する理由について「原水爆実験」というSF設定は既に与えられていたのだから。

 

 決定的に異なるのは、従来の作品がまず怪獣の映像的価値を前提とし、そこをメインに据えた上で、飽くまで補完的にSF設定で穴を埋めていったのに対し、本シリーズでは怪獣の映像的価値が重視されないために、むしろSF設定が主題となっている点だ。

 

 もう少し簡単に言えば、これまでは「ロマンある映像ツッコミどころが減りさえすればいい」という位置づけだったSF的考察が、本シリーズでは最重要のテーマとして作り込まれ、むしろ「設定上よくできていれば、結果的にできあがる映像は地味でも構わない」とまで思い切られている。*2

 

 この結果、映像としての退屈さは加速することとなったが、反面、SF的考察はこれまでにない鋭さで掘り下げられることとなり、ここに関しては一定の斬新さはあったし、筆者も価値があったと思う。

 

 方針としては。

 

 そう、あくまで方針としてはの話である。

 

描ききれなかったSFゴジラ

 ここからは劇中の具体的な描写に触れながら話を進める。

 本シリーズは早い段階で、作品によっては神のごとき扱いすら受けるゴジラ、ひいては彼を含む怪獣という存在そのものの何たるかについて語ることを匂わせている。

 

 たとえば一作目中盤では、変わり果てた地球がゴジラ生態系の頂点とし、彼に奉仕するために生命システムを形成していることが明言される。

 また二作目ラストでは、ナノメタルとの融合によりゴジラを倒せるまでになった存在は、それ自体がゴジラを超える怪獣そのものなのではないか、という新たな怪獣の定義が提起され、巨大で強い生物という素朴な怪獣観に揺さぶりをかけてくる

 特に二作目は、メカゴジラが本来の姿の代わりにメカゴジラシティなる要塞の姿で登場し、広報内容との不一致が見られたため、批判の声が根強い。

 しかし筆者に言わせればそんな表面的なことは批判するに値しないし、斬新と称える価値もない、ごくどうでもいいことである。*3

 

 本シリーズのテーマは即ち「怪獣とは何か」であり、そこを捉えて眺めてみれば、この二作で描きたかったこと、徐々に明らかにされてゆく怪獣の新定義というものは、なかなか興味深いものだ。

 

 そして三作目の冒頭で、このSF的な設定の面白さは頂点を迎え……実に肩透かしな結果に終わる。

 

 一作目・二作目ともに、人類が文明の頂点を極め、原水爆実験を繰り返していたころに、突如として怪獣が襲来したことが語られ、文明の発達が怪獣発生の原因であることがほぼ明示されている。

 これはゴジラシリーズではお馴染みの設定であり、要するに怪獣とはスケールのでかい公害のようなものなのだと理解すれば良かった。

 

 ところが本シリーズにおいてこれはミスリードで、一作目・二作目で下準備を終えた上で三作目は次のように述べる。

 

「文明が偶発的に禁忌を犯したがために怪獣が生まれるのではなく、文明そのものが初めから怪獣を生むためにあったのではないか?」

 

 正直に言えば、これを聞いた筆者は興奮した。

 冷戦が終わって久しく、核戦争の脅威が現実的には遠のきつつある現在、もはや公然とは行われなくなった原水爆実験の設定は色あせつつあるし、そもそも文明の弊害、天罰という科学に対する懐疑主義もやや使い古された感がある。

 そうしたなかで、「文明が怪獣を生むのはなぜか」という問いに対し「まず怪獣ありきで、文明が怪獣のためにあったとすれば」と逆転の発想を持ち出してきたのは、文句なく素晴らしい切り口だったと言ってよい。

 

 ところが実に悲しいことに、本シリーズの設定の面白さは、この後さらなる展開を見せることはなかった。

 三作目ではこの考察が口にされた後、はっきりとは否定も肯定もしないまま、しかし展開としては暗に肯定しつつ話が進む。

 そして結局、全ては摂理であると結論され、それに対してどう対応するかという人間ドラマに主題が移ってしまうのである。

 

 これには実に失望させられた。

 

 人間ドラマが駄目だというのではない。

 すぐそこに石油が透けて見えるほどに迫っておきながら、あっさりと油田を捨ててしまう勿体なさ。

 そこから感じざるを得ない、制作陣のテーマそのものに対する関心の薄さ

 

 筆者は本シリーズを紛れもない失敗作だと確信しているが、それは斬新すぎたからでは断じてない

 斬新さを目指して取り組んだテーマに対して不徹底だったからである。

 

怪獣とは何かということ

 先の考察に価値があったことを筆者は認めるが、実のところ、この考察を掘り下げるという方針にはもともと無理がある。

 

 これはなぜかというと、ゴジラの源流であるキングコングが(痩せたメガネザルではなく)巨大なゴリラな理由について、「その方が迫力があって面白いから」以外の答え*4を見つけようとすれば分かる。

 怪獣が存在することに、映像的価値以外の根拠はないのだ。

 怪獣は、まずビジュアルありきで作られてきた存在であり、まぎれもなく映像の一ジャンルではあるが、SFの一ジャンルとしての性質は薄いのである。

 

 SFとして怪獣を掘り下げることの難しさはここに原因がある。

 要するに怪獣としっかりしたSFの組み合わせは、意外に相性が悪いのだ。

 SFとして作り込めば作り込むほど、怪獣の本来の持ち味である破壊のカタルシス、派手な戦闘や生物としての愛嬌は薄まってしまう。

 だから大抵の怪獣映画は、まず怪獣の見せ場を確保したあとで、それを違和感なく鑑賞できる理由付けとしてSFを利用しているのだ。

 

 本シリーズは怪獣映画としての魅力をほとんど切り捨ててしまっているため、それに代わるSF映画としての面白さは全力で追求せねばならなかった。

 つまり「これ以上は無理」と言えるほどスッキリするまで、設定を作り込み、掘り下げなければならなかったのだ。

 

 具体的には、「文明は怪獣を生み出すためにあり、人類はゴジラの前座」なのだというのならば、それに対しても「なぜか?」というさらなる疑問を持たねばならなかった。

 だって、ほとんど同じように発達している現実の我々の文明には、怪獣発生の兆候すらないのだ。

 文明がその性質として最終的に必ず怪獣を生むと言われても、メカニズムも明らかではないため、眉唾ものに思えてしまう

 劇中の文明から絶対に怪獣が出てくるというのならば、我々の文明との違いは何なのか。

 これは当然の疑問であろう。

 

 同様に疑問を持つべき部分は、他にも随所に見受けられる。

 

「そもそもゴジラはなぜ単一の巨大個体という形態をもつのか?」

ゴジラは植物に由来する設定だが、ではなぜ爬虫類めいた姿をしているのか?」

「異星どころか高次元の存在であるギドラもまた爬虫類に類似した姿をしているが、これはゴジラと共通している。なぜか?」

 

 ざっと考えただけで、これだけの疑問が湧き出してくる。

 これらはメタ的には怪獣にシリーズが与えてきた共通項をそのままなぞったがゆえであるが、だからこそSF的考察を重視する本作では、何らかの設定が付与されており、開陳されていなければならなかったはずである。

 

 これを「摂理(要するにたまたまそういう宇宙だったということ)」の一言で説明してしまうのはあまりに勿体無い。

 無理があるのだと言うのではない。勿体無いというのだ。

 そこを掘り下げねば、わざわざSFゴジラを志向した意味がないではないか!

 

 しかもこの疑問、割と簡単にこじつけられてしまう。

 高次元怪獣*5ギドラという便利な存在がいるのだから、全部彼のせいにしてしまえばスッキリとカタがつくのだ。

 

 宇宙の造物主であるギドラが、自らの要素として生命の種を撒き、それが(事前にギドラによってそのように設計されているため)文明として芽吹き、最高の贄である怪獣として結実する。怪獣が巨大爬虫類型なのは創造主であるギドラに近い存在なためで、単一なのはその方が食事の際に手っ取り早いからである。

 

 という設定にでもすれば、ギドラを中心とした宇宙観が展開し、大きな偶然はたった一つ、「神は巨大な竜の姿をしている」というものだけで済む。

 少なくとも「摂理」の一言で済ませる本編よりはこれでもいくらかマシになったであろう。

 

多くの選択ミス

 これまで述べてきたように、本シリーズは、

 

①歪な制作体制のもと

②厳しいテーマを敢えて選択し

③しかも不徹底

 

 という三重苦をすでに抱えているが、恐ろしいことに問題はこれにとどまらない。

 虚淵氏の描く人間模様については好みの域を出ないし、映像演出に関してはまあ……正直これはエンターテイメントとして既に問題のあるレベルに突入してはいるが、キリがないのでここでは取り上げないでおこう。

 

 なお語る価値のある第四の苦は、本シリーズがこの他にもことごとく、本当にことごとく様々な選択を誤っていることだ。

 

 最初の誤りは、「怪獣プロレス」を「怪獣が派手に戦う絵面全般」と解釈したとしか思えない映像の捨てっぷりでありながら、なぜか「怪獣と戦う」という要素だけは残しているという見せ場の選択ミスだ。

 いや、別に戦闘シーンをゼロにしろというのではないが、ここまで怪獣映画要素を否定してしまった以上、怪獣との死闘をメインの見せ場にするのは無理がある

 

 当たり前だが、ゴジラとの死闘をいくらカッコよく描いて見せたところで、「怪獣とは何か」という本作のテーマにはほとんど寄与しない

 むしろ、主人公が物質的にも精神的にも余裕のない状況に置かれているせいで、こういった深い考察を必要とする世界観の説明になかなか持って行けず、結局まともに本題に入ったのがゴジラと自力で戦う手段を完全になくしてからだというスロースタートぶりである。

 

 ゴジラに砲弾があたっても死なない理由だとか、なぜ熱線を吐けるのだとかは、怪獣とは何かという本シリーズの深遠な問いの前では些末な問題に過ぎないし、最悪「勝手に想像しろ」で済む話だ。

 本シリーズではこういったどうでもいい設定は詳細に語られる割に、本当に大切な設定については解説役の「マーティン博士」だけが時々示唆的なことを言うにとどまる。*6

 はっきり言って、テーマを理解するためにはこの人物の発言が最重要になっていて、それはつまり、設定の開陳を便利キャラに頼った粗雑な構成であることを意味している。*7

 はっきりと分かる制作側の「見せたがり」であり、どの設定をしっかり見せていくか、という構成上の選択ミスである。

 

 そもそもSF的な設定を見せていく、という構造は、言い方を変えると「世界の真実を明らかにしていく」というものであり、ジャンルとしてはサスペンスやミステリー、ドキュメンタリーに近い。

 これらも娯楽要素としてちょっとしたアクションが入ることはあるが、それをメインに据えるとおかしくなって当然なのである。

 

 本シリーズの場合ならば、SFとしては、たとえば科学者である主人公が、地球を滅ぼしたゴジラを激しく憎みつつも、怪獣とは何か、人類はなぜ滅びねばならなかったのかという疑問に取り憑かれ、同様に怪獣によって滅びた様々な惑星の文明の跡地を歴訪する、というメインストーリーがテーマに沿っていただろう。

 言うまでもなくこの場合、主人公の性格はマーティン博士に近いものになる。

 あれほど使える便利キャラならば、いっそ主人公にした方が据わりが良い。

 博士が気づくと同時に観客も気づき、共に宇宙の真実に一歩、また一歩と近づいていくわけである。

 

たったひとつの冴えたやりかた

 

 さて、最後にラストシーンの話をして筆を擱きたいと思う。

 

 物語の結末に、主人公ハルオは、自分の存在が、より正確には決して捨てられないゴジラに対する憎しみが、いずれ地球に再びギドラを呼び寄せ、破滅を招いてしまうことを悟る。

 そして、その芽を摘むために、再び文明の悪夢をもたらしうる諸々をたずさえて、ゴジラに特攻し果てるのである。

 

 これ自体は自己犠牲のエンディングであり、まあ話としてまとまってはいる。

 だが問題はある。*8

 ネットの評価を見てみよう。

 このシーンについて、

「自分勝手だ」「なんであんなことをするのか全然分からない」「自己満足」

 といった意見がしばしば見られることに気づくはずだ。

 

 残念ながら、これらはそこまで少数の意見とは言えず、明らかな理解力の不足がもたらす意見とも言えない。

 これは劇中には、これが自己犠牲であることを表す表現が意外に少ないからだ。

 

 ハルオが文明の利器を(自分と共に)破壊した理由については、大方の人は正しく理解しているであろう。

 マーティン博士が再利用する方法を発見してしまったため、そこから文明が再興することがほぼ明白になり、その果てにゴジラとギドラがいることをハルオは知っていたからだ。

 これについては作品のテーマのようなものなので、まあよい。

 

 だが、ハルオが自ら命を絶った理由についてはそうではない。

 この行動は、それ以前のメトフィエスとの対話の中で語られた台詞を、ほとんど唯一の根拠としている。

 

 要約すればゴジラを怪獣足らしめているのは人々の憎しみであり、ギドラは怪獣がいるところに降臨する」というものだ。

 

 憎しみについては何度か語られるものの、いずれも抽象的かつ、本来の目的を悟られぬよう、メトフィエスがぼかした言い方をするので、それが本シリーズにおける核心的な怪獣の定義であることは分かりにくい。

 聞き逃す可能性を考えると、もっと分かりやすく、しつこいくらい反復しても良かったし、決定的な部分はさらりと発言しているのでインパクトもない

 

 なにより発言者がメトフィエスだというのが致命的である。

 一般的な現代日本人の感覚からすると、この人物は只者ではないものの、狂信者であり、わけの分からない破滅的な教理に取り憑かれている

 哲学的なことを口にはするが、その信憑性について、観客は判断しかねるのだ。

 にもかかわらずハルオがこれを根拠に自殺的な特攻をしてしまうため、メトフィエスを疑う立場の人の目には、この行動は自己犠牲とは映らないのである。

 

 結局のところ、これも本シリーズがSF設定を開陳していくことを主題としているにも関わらず、選ばれた展開がそれにそぐわないことによる弊害だ。

 最初から十分な時間をかけて、一つ一つの重要設定を丁寧に取り上げ、とりわけ最後の真実*9誰の目にも明らかに劇的に取り上げるべきであった。

 

 これを宇宙を旅する科学者の物語として、ドキュメンタリー風に、全てがラストシーンに向かって収斂するように構成し、知性=憎しみの大本であるギドラを中心とした宇宙観を描く。

 完璧だ。

 映画でさえなければ。

 

 そう、ここまで述べてきた対案は、全て小説向きのプロットである。

 本シリーズについて最後に指摘する問題は、これだけ映像化に向かない作りをした作品を、映画として公開したことである。

 わざわざ映画にしたがためおかしくなった部分が実に多い

 

 実験的な作品として小説で公開し、これまでの怪獣観を塗り替える。

 それがあのラストシーンを描く、たったひとつの冴えたやりかただったろう。

*1:どう考えても怪獣映画を見たことがないスタッフを呼んできて一緒に話を聞いてもらう方が早いであろう。

*2:これは本作が映像作品にあまり向かないことを意味している。たとえば文字媒体なら、また結果は違ったろう。

*3:言うまでもないが、娯楽映像としては問題がある。

*4:無い。

*5:要するに神。

*6:さきほど紹介した三作目冒頭の提起も、この博士によるものである。

*7:細かいことだが、映像ではなく全て台詞で説明してしまうのにも映像作品としては問題がある。

*8:この期に及んで正直もう言いたかないのだが、この映画は粗が多すぎる。

*9:つまり憎しみこそが怪獣を怪獣たらしめる要素であり、ギドラを呼ぶ条件であること

Stellaris 大予想 今後のアップデート

※いつもの標語は省略

一夜明けて

 StellarisのVer.2.0アップデートからしばらく経った。賛否両論あるようだ。

 今回のアップデートはかなり大規模で、相当広い範囲に手が入ったから、これも仕方のないことであろう。

 ところで、今更言うのも何であるが、実は2.0、筆者が事前に思い描いていたStellairisの仕様ほぼそのまんまである。夢の中でアイデアでも盗まれたのかと思うほど。ほんとに。

 まあこれはStellarisが普通のスペース4Xに近づいたためでもあるのだが、ハイパーレーンへの統一や指揮上限、ゲートウェイその他云々が的中した祝いに、思い切って今後のアップデートについて予想してみようと思う。

 もちろん、パラド社に聞いた話ではなく、筆者個人の勝手な考えなので、もしこうならなくても悪しからず。

 

 

Stellaris アップデート 大予想

経済要素の拡張

 まずほぼ確実に手が入りそうな内政要素に「経済」がある。2.0では海賊の仕様に対する不満が多く見られたが、それもそのはず、現Ver.の海賊は、どこから来たものなのか、何が目的なのかいまいちはっきりしないし、交渉の余地もまったくない。

 これでは海賊というより蛮族や獣のたぐいである。略奪するわけでもなくステーションを破壊し続けるなんて、何者なのかという話だ。

 海賊がうまく表現できないのは、経済、特に交易がしっかり再現されていないからで、現Ver.の海賊に対する不満は、これらを実装しなければ根本的には解決し得ない。

 従って経済要素の拡張はかなり優先順位の高いものと考えられるし、恐らく次の大規模DLCはここをターゲットにしてくると思う。

 前置きが長くなったが、では以下に具体的な仕様を書いてみようと思う。

市場と交易

 交易要素が追加されることは確実だが、交易を実現するためには移動させるべき物資と交易が展開される市場の概念が必須である。市場については、開発日誌にてすでに追加したい要素として名前が挙げられていた。筆者の考えでは次のような仕様になるはずだ。

  • 銀河市場は銀河社会と密接に連動しており、単なる経済要素にとどまらない
  • 市場は帝国その他の勢力によって支配や操作を受けるため、常に中立的ではない
  • 国交の有無に関わらず、市場にはほとんどの帝国がアクセスできる
  • 帝国間の貿易協定は市場での取引に統合される
  • 帝国は市場に対する方針を定められる
  • 禁輸措置も可能だが、海賊等の働きで市場に流出しうる
  • 海賊等の奪った資源は闇市場で取引される
  • 闇市場は勢力同士が支配権を争う場でもある
  • 上の勢力の代表は交易中立機構、あるいは交易に特化した帝国である
  • 交易に否定的な帝国が圧倒的な覇権を握れば、武力で闇市場の縮小・廃止が可能
  • 逆に闇市場を復活させることもできる(創設は恐らく無理)
  • 交易品目は通常資源・戦略資源のほか奴隷POPや食料POPも対象となる

 上では市場について書いたが、物資についても変更があるだろう。特に戦略資源は「あったほうが有利」という現状のレベルではなく、「必須」というものに変わっていくはずだ。

 たとえば燃料資源の要素を導入し、ウラン重水素反物質→……というふうに技術の進歩とともに機関ごとに異なる燃料を使用するようにし、その資源を偏在させてやれば、市場における燃料資源の取引はいやでも活発にならざるを得ないし、燃料をめぐっての戦争すら起きるようになるだろう。

 とはいえ、以前の開発日誌ではVictoriaのような複雑な経済システムを導入するつもりはないと明言されていた。これに関しては撤回する可能性が少なからずある(すでにFTLという根本中の根本を撤回してしまったのだから)と思うが、遵守されるとすれば、それは資源をむやみに増やさないという形で顕在化すると思われる。

 贅沢資源のようなものが追加される可能性については、低いと考えていいだろう。

 これらの要素は、交易船等の操作不能な船舶概念の追加によって、視覚化されるし、また海賊が直接狙うものともなる。これについては以下の「操作不能な船舶の追加」項目に書く。

民間経済

 次に導入されるのは民間経済だ。現状のStellarisは経済のほとんどが国=プレイヤーの指示によって決定されるため、国を「整備している」感覚はあっても、植物が芽を出しやがて花を咲かせるような「育てている」感覚が薄い。

 今後のアップデートでは、帝国指導部が間接的にしか干渉できない経済活動の主体として民間経済が登場すると思われる。

  • 民間経済は民間企業その他の団体によって運営される
  • 帝国は惑星の全タイルを掌握しておらず、一部タイルは民営される
  • 民営タイルでは建造物等は自動的に選択され建設される
  • 上のタイル整備に対しては政策を通して間接的に干渉できる
  • 民営タイルの整備は国庫に負担をかけないが、補助してやることは可能
  • 民営タイルの規模・出力に関しては帝国の国是や政策で決まる
  • 民営タイルを所有する企業等の団体は技術や統合力にも影響力を持つ
  • 民間経済は民営タイルを地盤とし交易や技術開発で築かれる経済活動である
  • 自国企業等の民営団体は闇市場等の支配を補助してくれる

 企業による製品を輸出することで、民間経済はよりいきいきとする。具体的には、現状国庫の鉱物を直接消費している消費財だが、これを鉱物を加工して作られた製品を消費する形にすればよりリアルにはなる。

 しかしこの場合、製品の種類まで拡張しなくてはならなくなるので、ゲームが複雑になりすぎる恐れがある。最終的には企業は収益や市場の支配、研究に効果を与える抽象的なものとなり、企業ごとの特色といったものはあまり作り込まれないだろうと思う。

タイル内政の見直し

 現状のタイル内政は、隣接ボーナス等のパズル要素の片鱗があるものの、これを活かす程のものではない。今後のアップデートではタイルに関してもう少し深みが追加されるものと思われる。

  • タイルにタイル地形の概念が追加される。平原・丘陵・山岳・海洋など
  • 地形によって産出資源、建設可能な建物が異なる
  • 建造物は一部を除いてPOPの住居であると再解釈される
  • 発電所は建造物の稼働に必要なものとなり、エネルギー通貨を微量産出する
  • エネルギー通貨を主に産出する建造物として「都市」が追加される
  • 建造物によるエネルギー産出は交易の産出量を加味され、下方修正されている
  • 隣接効果、建設条件がより際立ち、惑星ごとに特化が可能になる
  • タイルごとにPOPを配置するシステムは廃止される
  • POPは「人口」「種族・志向の割合」「資源効率」等を総合した抽象概念となる
  • 建造物は起動・停止を切り替えるものとなる
  • 惑星人口を超える数の建造物を稼働させると効率が落ちる
  • 資源出力はPOPの種族比・待遇等を総合して産出される
  • 惑星人口の上限がタイルの数と無関係になる
  • 上限はソフトキャップとなり、増えすぎた人口は災いを招くようになる

 全体としてパズル要素がクローズアップされるのはほぼ間違いないと見ている。だが、ゲームの軽量化の観点からして、逆にもっと単純化して、タイル自体が廃止される可能性もある。どちらにせよ、タイルごとにPOPをおく、という現状の仕様が、ゲームの重さを招くほど意味のあるものとは思えないので、これは廃止されると思う。

 なお、タイルの一部(場合によってはほとんど)は民営されている。

艦船の見直し

(執筆中)

Stellaris ぱーそなる初心者講座

 こちらは旧バージョンの解説記事です。2.2以降の解説が読みたい方は以下のリンクからどうぞ。

zousuikakka.hatenablog.com

 

 Stellarisの初心者講座を執筆していたら、なぜか削除されてしまったのでこちらに。

 スレ見る限り結構需要はありそうなので。

 ちなみに今のところ未完成なので続きはそのうちに。操作説明とかも入ってるけどこれはどうしよっかなあ。


※この初心者ガイドは英語版wikiのBeginner's Guideを元に意訳と独自の注釈を入れたものです。ベースはver2.1.1となっています。(使用しているSSには1.9.1のものがある)

 2018 7/20 いろいろ修正


 Stellarisは戦略SLGの要素と4Xゲームの要素とRPGの要素を併せ持つゲームだ。
このガイドでは初心者の方が、ゲームを初めてプレイする際にどうすべきか等のヒントを書いていく。


はじめに 

 Stellarisはかなり頻繁にアップデートが施されるゲームで、発売からおよそ一年半が経過した2017年11月25日現在、すでに8回もの大型アップデートが実施されている。
 これらはそのたびにゲーム性が大きく変わってしまうほどのもので、当然ながら採るべき戦略、場合によっては基本的な操作すら異なるものとなる。
 もし上記の対応バージョンが最新でないなら、ここに書いてあることはそれほど信頼できないと考えるべきだ。
 また、βを利用して過去バージョンで遊ぶ場合も、記述内容と大きく異なる仕様になっている可能性がある。
 ここに書いているからといって真実だと思い込まないように。最終的には自分で戦略を見つけられるようになろう。

 

ゲーム開始前の設定

 ゲームを始める前に、プレイヤーは自らが導く帝国を選ばなければならない。
 すでに用意されている帝国(プリセット帝国)を選ぶか、新しい帝国を作成する方法がある。
 どちらの場合も、「貪食する群れ」や「狂信的な浄化主義者」の帝国、「狂信的平和主義」の志向を持つ帝国は、他の一般的な帝国と比べてかなり特殊な戦略が求められるため、特に希望がなければ初心者は避けたほうがよい。
 また、Stellarisには帝国をランダムで生成する機能が存在するが、これを使用する場合、ゲームが始まるまでどんな帝国になるのか分からず、初心者に厳しい帝国が生成される可能性もあるため、慣れないうちはこれもおすすめはしない。
 どの帝国が良いか決まった場合は当記事「銀河の設定」の項目へ、自分だけの帝国を作ると決意した場合は以下の「帝国の作成」の項目へ向かおう。

 

 

帝国の作成 

 Stellarisでは、プレイヤーが望むままに新しい帝国を設計することができる。
望むならこの帝国はプリセット帝国と同様に保存され、NPC*1帝国として登場させることもできる。

 NPC帝国としての登場の設定は各帝国の横にある鳥の描かれたボタンで可能だ。
以下の項目では帝国を形成するさまざまな要素について、帝国作成の観点から解説していく。
 要素は大きく三つに分けられる。すなわち種族に関するもの、政府に関するもの、そして艦船に関するものだ。
 これらは実際のゲームに大きな影響を与えるため、よく考えて決定されるべきだし、深く理解しているのが望ましい。
 読む時は、実際に帝国を作成しながら読んでみるとよい。どこに何の選択肢があるのかが把握しやすく、理解が早まるだろう。

種族

 ゲーム開始時に帝国を支配している種族(第一種族、支配種族)に関する設定。
「その帝国にはどんな人々が住んでいるのか」を作る場所だと思えばよい。

 

外見
 種族の外見は、機械などの特殊なものを除いてゲーム性に影響しない。好みで選ぼう。

 

・種族名
 ここでは種族の名前を設定することができる。

 単なる名前の他に複数形、形容詞形を設定することも可能だ。

 ただしゲームを日本語化してプレイする場合、文章中にはすでに助詞が記述されているため、形容詞形を設定するとかえって違和感のある結果になるかもしれない。

 日本語の場合は全て名詞形と同じものに統一して問題ない。

 ※注意:ここにひらがなやカタカナなどのマルチバイト文字を使う場合、政変で国名が変わると艦船名が表示されなくなるおそれがある。

 この問題は完全日本語化MODを使用している場合は発生しない。

 実績狙いなどで基本の日本語化MODを使用している場合は、必ずアルファベットの名前をつけるように。

 

・名称リスト
 帝国が用いるランダム名詞の参照元を選ぶ。艦船やリーダーの名前がここから選ばれる他、艦隊の名称等もここで決まっている。

 なおこれらの名前はほぼ全てゲーム中いつでも変更が可能だ。

 ちなみに艦船接頭辞というのは艦船の名前の前につけられるアルファベット三文字のこと。ピンと来ない人はGoogleに訊いて欲しい。

 

・居住性と特性
 恐らくこの項目で最も大切な要素。種族の生物学的な特徴を表し、得手不得手を決定する。

 まず、全ての種族に共通する項目に居住性があり、どのような惑星を住みよく思うかが定められる。惑星のタイプによって産出資源に少々偏りがあるものの、それほど顕著な差ではないので、好みやイメージで決めてしまってよい。

 もう一つの項目は特性で、ここではより細かな形質を選択することになる。

 (MODを使っていない限り)全ての種族は2ポイントの特性ポイントを持ち、5つまでの特性を持つことが出来る。特性には有利なものと不利なものがあり、有利なものを持たせるとポイントを消費し、逆に不利なものを持たせると獲得する。有利な特性を沢山持たせるためには不利な特性も持たせないといけないわけだ。

 また互いに打ち消し合うような特性を同時に持たせることはできない。ここで選んだ特性はその種族にとって恒常的なものとなるが、ゲームが進めばこれを変更する技術が登場する。

 どの特性を選ぶべきか迷うことと思われるが、まずは「その種族がどんな生き物なのか」をイメージして欲しい。
 たとえば我々人類は、Stellarisで表現すればどんな種族なのか。強い、弱いはひとまず横において、まずはイメージに近い種族を作り出してみよう。
 帝国の特徴は種族特性だけでは決まらないので、この時点であれこれ考えるより、一通り帝国が完成してから吟味する方がよい。

 その上で書くと、 初心者におすすめなのは基本資源を底上げしてくれるものや、POPの増加速度を上げる「素早い繁殖者」などだ。

 

・支配者
 帝国を初めに支配している人物の外見と名前、性別、称号を選択できる。

 ここで設定した称号は、政治体制に大きな変更がない限り次代にも受け継がれ続ける。なお男女で異なる称号がある場合は、両方を設定しておかないと違和感の残る結果になることがあるので注意。

 

母星


・名称とクラス
 母星(母惑星)のタイプと名称を設定することができる。恒星と母星は名称を別々に設定可能だ。

 ちなみにここでは2つのプリセット星系を選ぶことも可能で、ひとつは太陽系(我々の住むここだ)、もう一つはデネブ(はくちょう座の恒星)星系である。

 これらのプリセット星系を選んだ場合、星系内の惑星の数と種類、周囲の星系の状況などが固定される。ある程度決まった環境でプレイしたい場合、人類でプレイしたい場合などはこれを使おう。惑星のタイプについては、種族の居住適正に合わせておくのが無難である。

 

・都市の外観


植民地管理画面や支配者の背景に表示される外観を設定できる。見た目以上の意味はないので好みで選んでしまおう。

 

政府


 ここでは帝国の持つ志向統治形態国是を設定できる。
 「その帝国はどのような統治をしている国家なのか」を定める場所と思えば良い。
 ここで設定される項目は種族特性以上にゲームに深く関わるもので、選べる組み合わせは制限されるものがある。
 たとえば平和主義の志向を持つ帝国は、軍事国家むけの国是を選ぶことはできない。
ここで決めたことはゲームが進めば変更できるが、時間がかかったり、特殊な手段を必要とする場合がある。慎重に決めた方が良いだろう。

 

・志向


 帝国が基本的に持っている思想。四つの軸が存在し、軸上の志向は対立関係にある。

 それぞれの志向は、それを採用している帝国にボーナスをもたらし、政策や行動を可能にしたり、逆に禁じたりする。また志向は外交関係にも大きな影響を与え、同じ志向や近い志向を持った帝国同士は友好的になりやすい一方で、対立する志向を持った帝国同士は、その外交関係もまた深刻な対立に陥りやすい。

 帝国は3の志向ポイントを持っており、これを割り振ることで志向を設定できる。

 それぞれの志向は二段階に分かれており、「狂信的」な志向は通常の志向に比べて効果が大きく、取得に2ポイントを要する。

 従って、プレイヤーが作成する帝国は、基本的に「通常の志向を三つ」持つか、「通常の志向と狂信的志向を一つずつ」持つ。なおゲシュタルト意識は特殊な志向であり、他の志向と共存できない。これについては後述する。

 以下にそれぞれの志向軸について解説を加える。

 

  • 平等と権威

 権力が分散しているか、集中しているかを表す。

 平等主義の帝国は民主的な傾向を持ち、権威主義の帝国は専制的な傾向を持つ。

 平等主義は消費財コストを軽減し、派閥から得られる影響力を増加する。

 一方権威主義は毎月の影響力が直接増加し、奴隷の使用を可能とする。

 

  • 受容と排他

 異星人への態度を表す。

 受容主義は外交や国内在住の異種族の幸福度が高い傾向があり、排他主義は異種族に対して追放や浄化*2政策を実施し、広い国境を持つ。

 一部の浄化政策には排他主義が必要となる他、受容主義の帝国は異種族に対して厳しい政策を採ることができない。

 

  • 軍国と平和

 戦争に対する考え方を表す。

 軍国主義の場合、軍艦の性能にボーナスが付与される。一方、平和主義では統合力と直轄星系数が増加する。また、平和主義では一部の戦争形態が禁止されるのに対し、軍国主義の戦争に関する選択肢は自由度が高い。

 

  • 物質と精神

 宇宙の真の実在が何であるかという見解を表す。

 物質主義者は精神を電気化学反応の一種にすぎないとみなす一方で、精神主義者は目に見える物質こそ精神の産んだ幻想に過ぎないという立場をとる。

 物質主義は帝国に研究速度を向上させるボーナスをもたらし、精神主義は統治志向への魅力を高め、国内を安定させる。

 

 特殊な志向で、他の志向と共存できない。種族全体が一つの意識を共有している存在であることを表す。個人というものは存在せず、個体はいわば触覚や触手に相当する。

 国内の安定度は極めて高く、面倒なルールが少ないため初心者でもプレイしやすいが、他の志向と比べて異質な存在であるため、一風変わったプレイ感覚になる。

 強くおすすめはしない。

 

 これらの志向はイメージする帝国に合うように選んでしまって構わないが、
「平和主義」や「排他主義」については少し取り扱いが難しいため、拘りがないなら避けた方が良い。また「狂信的」な志向についても、しばしば極端なバランスに近づくためおすすめしない。


 他に、説明には書かれていないが、「精神主義」は超能力の研究がし易く、ここに関してアドバンテージを持つ。
 Stellarisでは技術的優位はそれほど大きな国力差とはならないため、物質主義の研究速度向上はそれほど有用ではない。
 国内情勢の安定する精神主義は、上の超能力にまつわる豊富なイベントの存在もあり、比較的おすすめである。


統治形態


 帝国の基本的な統治の様式。一言でいえば支配者の立場とそれにまつわる制度のことである。以下の種類があり、ここまでに選んだ志向によっては選択できない組み合わせも存在する。

 

  • 帝国制

 ただ一人の支配者とその家系が頂点に立ち、世襲で帝国を治める。

 支配者の地位は世襲され、選挙は行われず、支配者の死とともに権限は自動的に予め定められた後継者に移動する。

 選挙の煩雑さはないものの、支配者を能動的に変える手段や、無能な後継者の即位を阻む手段がなく、帝国に長きにわたって影を落とす場合がある。

 いわゆる「銀河帝国皇帝」を作りたいならこれ。

 

 頂点は一人だが、支配者の死と共に次の支配者を決定する選挙が行われる。

 存命中は選挙が行われることはない。候補者四人のうち、選挙で勝利したものが次の支配者となるため、帝国制よりは後継者に恵まれやすい。

 ナチス・ドイツのようなものを想像すると分かり易いだろう。

 

  • 寡頭制

 ごく僅かな人数の集団が帝国を統治している。

 一応代表格と言うべき支配者はおり、20年ごとの選挙で決定する。この選挙は国内の情勢とは無関係で、完全に支配者候補の内だけで完結しているため、支配者は4人の候補のうちからランダムに決まる。

 数人の有力者たちがテーブルを囲み、国家の方針を決定している図を思い浮かべると分かり易い。

 

  • 民主制

 民衆が主権を持ち、彼らが選んだ支配者が帝国を統治する。

 10年ごとに選挙が行われ、各派閥の代表者が立候補する。選挙の結果は派閥の勢力に準じたものとなる。恐らく我々にとって最も馴染み深い統治形態であろう。

 

 ちなみに個人の存在しないゲシュタルト意識の志向を持つ種族については、自動的に「集合意識」の統治形態に決定される。

 また、選挙のある統治形態においては、250の影響力を消費することで、確実ではないものの結果に干渉することができる。

 

国是


 帝国のより細かな性質を決定する要素。ここで「肉付け」を行うと考えればよい。

 種類はとても豊富だが、志向と統治形態によってかなり限定されるのが分かるだろう。ゲーム開始時点では2つ選ぶことができ、ゲームが進むともう一つ追加できる。

 初心者の場合、鉱物やエネルギー資源の産出(特に鉱物)にボーナスを与えるようなものがシンプルで扱いやすい。

 志向・統治形態・国是の組み合わせによって、政体名は自動で決まる。これは分類のようなもので変更することは出来ないが、プレイヤーにはデフォルトの支配者称号を設定するくらいの役割しかないのであまり気にしなくてよい。*3

 

  • 帝国名

 帝国の名前。「地球連邦」だとか「アーヴによる人類帝国」などである。

 Stellarisに登場する固有名詞のうち、プレイヤーに属するものは、ほとんどが後ほど自由に変更できる。これもその一つである。

 形容詞形については略称(単に「帝国」など)を当てるとそれっぽい感じになる。

 

  • 国旗

 帝国の国旗をデザインできる。裏地のパターンと色、シンボルを選ぶだけで簡単。

 もちろんゲームバランスには影響しないので好みで設定してよい。

 ただし、ここで選んだ「第一色」が帝国の領土や艦船のライトの色となるので、一色目は特に好きな色を選んでおこう。

 

艦船 


 帝国が用いる艦船のデザインを選択する。

 ゲームバランスに関わりのない要素なので好みで決めて良い。

 上にも書いたが、艦船を彩る光は国旗の「第一色」と同じなので、ここでは変えられない。色が気に入らない場合は国旗のデザインを変えよう。

 

銀河の設定


 ゲーム開始前に、プレイの舞台となる銀河を詳しく設定することができる。
 特にこだわりがなければ、何も触らず開始してしまって構わない。

 以下に各項目について解説していく。

 

  • 銀河サイズ

 極小(恒星数200)から極大(1000)まで。大きいほどPCへの負荷が高く、特に後半は動作が遅くなるので注意。ちなみに「渦状銀河」では小さいサイズが設定できない。(後述)

 

  • 銀河の形状

 銀河の形状を設定できる。基本となる楕円のほか、リング状、渦状(腕が2本のものと4本のもの)が用意されている。

 形状によって他星系へのアクセスのしやすさが異なり、戦略も違ったものになる。

 渦状銀河の場合、二本腕では極小が、四本腕では小以下の銀河が選べなくなるので注意。

 

  • AI帝国

 登場するNPC帝国の数。銀河のサイズによって最大数が異なるが、最低は1。

 右側のラジオボタンは「ランダム化」の設定で、チェックを入れていると一定の範囲の中からランダムで決まる。厳密に設定したい時には外しておこう。(以下の項目についても同様)

 

  • 発展した開始状態のAI

 ゲーム開始時点である程度の星系数、技術などを保有している帝国がいくつあるか。

 ここを0にすれば、没落した帝国を除く全ての帝国が平等な立場から開始する。(立地は例外)

 

  • 没落した帝国

 星系数こそ少なく、拡大しないが圧倒的な戦力と技術力を誇る「没落した帝国」の数。0に設定すれば登場しない。

 

  • 原始文明

 まだ宇宙進出していない知的生命体の数。ゲームにそれほど大きな影響は与えない。

 

  • 危機のレベル

 ゲーム終盤の危機の強さを設定できる。

 高める場合、銀河サイズによっては詰むので注意。

 なお左端に設定すると危機自体をオフにできる。

 

  • 居住可能な惑星

 銀河全体の居住可能な惑星の数。高く設定すれば多くの惑星に入植できるが、他の帝国も同様。

 また、これが高ければ全体的に物量が増えるため、ゲームの動作が遅くなる。

 

  • AIの攻撃性

 高くするとAIが戦争を仕掛けやすくなる。&br;プレイヤーの帝国に対してだけではなく、AI同士も衝突しやすくなる。

 

  • 難易度

 AIにかかる経済・研究ボーナスの量。

 少尉~元帥までの五段階。プレイヤーの従属国には適用されない。

 飽くまで数値的な補正であり、AIの動きそのものが巧みになったりはしないので注意。ちなみに階級が高いほど難しくなる。

 また「難易度漸増」を有効にしておくと、ボーナスが指定した難易度の値まで徐々に上がっていくようになる。

(つまりゲーム開始直後は「少尉」の難易度だが、最終的には「大将」や「元帥」になる)

 

  • 帝国の配置

 帝国の配置のされ方を設定できる。「密集」だと多くの帝国がかたまって配置され、「ランダム」だとばらばらになる。

 前者は初期から他帝国と衝突しやすく、後者は複数の巨大帝国が台頭しやすい。

 

  • 進んだ隣人

 上記「発展した開始状態のAI」がプレイヤー帝国の近くに配置されるかを設定する。

 発展した開始状態はそこまで圧倒的なものではないので、ここをオンにしていると、それを感じにくい可能性がある。*4

 

  • 鉄人モード

 オンにするとコンソールコマンドが封じられ、セーブデータは強制上書きとなる。

 つまりロードによるやり直しが利かなくなる。実績解除の条件の一つであり、オンにすると解除可能だと表示されるが、この表示はあまり当てにならないので注意。

 ゲームバランスに関わるMODを導入していると、鉄人モードでも実績が解除されない。

 実績解除の条件は「鉄人モード:オン」かつ「ゲームバランスに関わるMODを非導入」である。

 

 ゲームを始める前の設定は以上である。
 なおゲームのルールを覚えていない初心者の場合、最初から鉄人モードに手を出すのはやめたほうがよい。
 開戦や内政の切り替えのタイミングを学ぶのにはセーブ&ロードが最もよく、これを封じられる鉄人モードは学習効率が高いとは言えない。
 ここからはゲームを始めてからの操作や戦略について解説していく。

 

UIと操作方法 

 

 解説に入る前に、まず初めてゲームを開始した場合は自動的にチュートリアルが立ち上がる仕様になっている。
 初心者はこのチュートリアルをざっとプレイしてみることを強くおすすめする。
 本記事でも基本的なことは解説しているが、実際にプレイしつつ解説してくれるチュートリアルが遥かに有用である。
 もう一つ、他のParadox Interactive社開発のゲームにも言えることだが、ボタンや数値の上にマウスカーソルを動かして放置していると、大抵ツールチップが現れて情報が補足されるようになっているので、「何か分からないことがあれば、マウスオーバーすれば解決しやすい」ことを覚えておこう。
では以下に操作方法と画面の見方について解説していく。

 

https://i.imgur.com/hZqtIeo.png

 

政府画面


 まずは左上にある六角形の帝国の紋章をクリックしてみよう。
すると画面左上にウィンドウが開き、政府画面が表示されたはずだ。

https://i.imgur.com/tV21ibE.png


 ここでは帝国の基本的な情報を確認し、また政府についていくつかの改革を行える。
表示されているのは、

  • 現在の支配者の姿とスキル
  • 帝国の志向
  • 帝国の統治形態と国是
  • 帝国で現在有効な補正

である。
統治形態と国是はこの画面から変更できる(影響力を消費する)ほか、緊急選挙もこの画面から行える
 さて、ウィンドウの下にいくつかタブがあることに気づいただろうか?
 現在有効な「政府」タブ以外に「予算」「人口統計」「ボイス」というものがある。

  • 予算タブでは現在の帝国の収支の他、主要な経済効果を確認できる。
  • 人口統計タブでは現在の人口の種族ごとの割合や、POP効果を確認できる。
  • ボイスタではナレーションの声を自由に設定できる。

実のところ、政府画面を見る機会は少ないが、帝国の根幹に関わる情報が集中しているので、頭の片隅にはとどめておくようにしよう。

 

交信画面 

 

https://i.imgur.com/q9JcmT6.png


 帝国の紋章の一つ右にある、ホログラムと会話をする宇宙人の絵が描かれた長方形のボタンをクリックしてみよう。
 これで交信画面を開くことができる。
 交信画面では、これまで出会った様々な帝国やその他の勢力が一覧表示されており、
プレイヤーの帝国との関係や国力比較、所属連邦などがひと目で分かる。
 他の勢力をクリックすればより詳しい情報が閲覧でき、さらにこの状態でウィンドウ左下の「交信する」ボタンを押せば、外交画面に移動することができる。
 ちなみに外交画面は、至るところに表示されている相手の紋章をクリックすることでも開ける。実際のプレイにおいてはこちらの方がよく使うことだろう。

 

外交画面

 

https://i.imgur.com/KNXcZxX.png


 続いて外交画面を見ていこう。
 外交は本作において非常に重要な要素であり、この画面はかなり頻繁に目にすることになるはずだ。
 ここでは相手の帝国名や政体名、外交上の性格、国力、自国との関係などを確認できる他、画面右側から様々な外交行動をとることが出来る。
 細かい外交行動についてはwikiにでも任せるとして、ここでは画面の見方を解説する。特に重要なのは態度信用国力比較国際関係の四つだ。

  • 態度:自国に対する態度を数値化したもの。高いほど友好的であることを意味する。
  • 信用:自国に対する長期的な信用。良い関係を維持するために重要。
  • 国力比較:自国との国力の比較。艦隊戦力、宇宙軍許容量、技術力の三つを合算したもので、「優越」以上であればこちらの1.5倍以上の国力を持っているということになる。「同等」でもギリギリ1.5倍ということがよくあるので過信は禁物。
  • 国際関係:自国を含む他国と結んでいる関係が表示される。記号で表されているが、マウスオーバーすれば中身は分かる。防衛協定を結んでいることに気づかず宣戦したりすれば思わぬ敵国を増やす羽目になるので要チェック。

(以下操作説明執筆中)

 

ゲームの基本概念


 Stellarisは4Xゲームの要素が強いゲームだ。
 4Xとは、eXplore;探検 eXpand;拡張 eXploit;開発 eXterminate;殲滅の4つの要素を指し、4Xゲームとはこの4要素が主軸となっているジャンルを意味する。
 ここではこの4Xと、ゲームの戦略的に重要な要素について解説する。

 ここにあることを頭に入れてしまえば、後は遊びながら覚えていっても大丈夫だろう。


1.探検 

 

 舞台となる広大な宇宙は謎のヴェールに包まれている。
 これを取り払うためには''調査船''と''科学者''が必要だ。
 とはいえ、ゲーム開始時点でこれらは1つずつ用意されているので、調達の仕方については今は知らなくてよい。
 科学者を乗せた調査船を使って''調査''を行うことで、天体の性質や資源の有無を知り、植民を可能にし、アノマリーの発見を行うことができる。

 

母星系の調査


 手始めに、母星のある星系を調査してみよう。
 基本的な方法はチュートリアルに任せるとして、ここでは手っ取り早い方法で行う。
 まずは調査船をクリックし、選択した状態にする。
 そのまま恒星を右クリックし、出てきた選択肢から「星系を調査」をクリックする。
 これで星系内の全ての天体を調査する命令がくだされた。

https://i.imgur.com/Z59WSQr.png



アノマリー 


 「アノマリー」は調査した天体に、軽い検査では分からない異常があったことを示す。
「研究」を選べば、発見した調査船と科学者に正体を解明させることができる。
ただし、アノマリーの研究中は調査船はその場から動けないため調査が滞り、かつ担当科学者のスキルに応じて余分な時間がかかることには留意しておこう。もちろん、いい結果ばかりをもたらすとも限らない。
 アノマリーの研究にかかる時間はアノマリー自身のレベル(難易度)と担当する科学者のスキルレベルの差に依存しており、後者は調査によって成長していくので、科学者がもっと成長してから取り掛かればよい。
 なお、あとで研究したい場合は、天体のそばに表示される顕微鏡のマークを押すか、「状況ログ」からアクセスできる。

 

外宇宙の調査


 母星系の調査が完了したら、いよいよ外宇宙の調査に乗り出そう。
 調査には調査船の維持費以外のコストはかからないが、だからといって遊ばせないよう注意するべきだ。
 まずは銀河地図に移動しよう。
 調査された母星の周囲に未調査の星系とわずかなハイパーレーンが表示されているのが分かるだろう。
 星系を利用するのに調査は必須なので、さっそく近場の星系から調査してみよう。
 ここで、いちいち星系画面に移動する必要はない。
 銀河地図から未知の星系を右クリックし、「星系を調査」を選ぶだけで良いのだ。
 さらに、shiftキーを押下しながら同じ操作を繰り返すことで、調査船に連続して命令を与えられる
 これであとは放っておくだけで、命令した星系は(邪魔さえ入らなければ)勝手に調査してくれるだろう。
 ちなみにctrl+shiftキーを押しながら同様の操作をすると、命令を最上段に割り込ませることができる。惑星探査中の調査船にさっとスペシャルプロジェクトをやってもらえるので便利だ。
 これらの操作は他の種類の艦船においても同じなので、覚えておくとよい。

https://i.imgur.com/Dr2saIX.png

↑画像は1.9.1のもの。2.0.0以降では母星周囲にハイパーレーンが通って見える

 

 さて、ここで一つ注意しておくべきなのは、ゲーム開始直後の状態では、どこに星系が位置しているか、それが何重星系かは分かるが、居住可能惑星があるか、またハイパーレーンがどう繋がっているかは不明となっている。
 

 これはセンサーの感度がまだ外宇宙の深くの情報を得るほど高くないためで、我々はほとんど未知の空間に漕ぎ出すことになる。

 気をつけてほしいのは、内部の情報が不明な星系に進入できるのは調査船だけだということだ。探索は基本的に調査船でしか行えないということを覚えておこう。

 

 次のステップである「拡張」には目標星系の調査が必要なので、出遅れないためには出来るだけ早く周囲の星系の情報を集める必要がある。

 調査船、科学者ともにそれほど高価ではないので、危険な宇宙生物に調査船が撃沈される等の事故に対する保険も兼ねて、資源の都合がつき次第、二隻目、三隻目の調査船と担当科学者の配備をするべきである。

 

 なお、星系の調査には優先順位が存在する。

  1.  要衝星系(チョーク・ポイント)
  2.  居住可能惑星のある星系
  3.  鉱物等の資源の豊富な星系

 調査はこの順で行おう。1.について詳しくは「2.拡張」で解説するが、これは要するにハイパーレーンの収束している星系である。

2.拡張

 Stellarisで強大な帝国を築く第一にして最大の条件は「多数の植民地からなる広大な領土を持つこと」だ。ただ拡張していれば強国になれるというのは些か単純すぎるのでアップデートによって何度か是正が図られてきたが、それでも「広い=強い」の式は揺らがない。どの程度広い国を作るかは個人の好みもあるのだが、序盤の戦略として初期拡張の概念を知っておこう。

初期拡張

 よほど運が悪くない限り、Stellarisにおける隣国との間にはある程度のスペースが存在し、この中にはいくつかの居住可能惑星が含まれている。ゲームシステム的な話をすると、全ての帝国は母星系の周囲に最低でも二つの居住可能な星系(ここではボーナス星系と呼ぶ)が用意されており、ハイパーレーンの繋がりが悪くなければ、これは母星を有する帝国の領土となる。全ての帝国には予め拡張の余地が用意されている、とも言える。

https://i.imgur.com/GshavZD.png

↑太陽系の場合。このように帝国作成画面で選べる特殊な開始星系の場合、ボーナス星系にも固有の名前がついていることがある。上の画像ではアルファ・ケンタウリとシリウスが該当。(画像は1.9.1)

 まともな星間国家を築きたいなら、最低でもボーナス星系は確実に押さえておくべきだ。上の画像の場合、ディシダー星系にも居住可能惑星があるので、ここも押さえるのがよい。万が一母星周辺のこれらの星系を他の帝国に先取りされるようなことがあればほぼ「詰み」となってしまうので気をつけよう。以下からは具体的な押さえ方の手順を解説していく。

 

星系基地の建設

 欲しい星系が定まったら、次に行うことはその星系に建設船を派遣することである。

 Stellarisにおいて、星系の領有権がどの帝国に属するかの基準は極めてシンプルで、その星系の真ん中にある「星系基地」が誰のものかと完全に同一である。領有権を持つ帝国だけがその星系の資源を利用し、惑星に入植し、軍備を整えることができる。

 星系基地の建設には鉱物と影響力を消費する。鉱物はともかく、影響力は貯まるのに時間がかかるため、節約したいところだ。国境に隣接しない星系へ基地を建設しようとすると影響力のコストが跳ね上がるため、どうしても確保したい場合を除き、基本的に一つずつ国境を広げていくことになるだろう。

 

確保すべき星系
  1.  要衝星系(チョーク・ポイント)
  2.  居住可能惑星のある星系
  3.  鉱物等の資源の豊富な星系

 調査の優先順位の繰り返しとなるが、この順で確保すると良い。

 

要衝星系

 星系の中には、ハイパーレーンが複数の方向から集中しているものがある。

f:id:wakamotoinoti:20180720025006p:plain

 上の模式図を例にとると、この場合C星系やD星系は要衝となる。C星系を確保することでA、B星系へ、D星系を確保することでE、F、G星系への通行が確保され、広い国土を確立しやすくなる。

 

 あなたの母星がA、隣国の母星がEとして考えてみよう。もし隣国がCに進出してしまうと、あなたはもはや拡張することは出来なくなり、ほぼ「詰み」である。

 ではCを確保したとして、次に進出するべき星系はBとDのどちらであろうか?

 この答えは当然Dである。Dさえ確保してしまえば、先程の例とは逆に、隣国が拡張する芽を摘むことができる。B星系はその後でゆっくりと確保すればいいのだ。

 ただし、このように国境を接する位置に星系基地を建設する行為は、特に相手に拡張の余地が無くなる場合、深刻な外交感情の悪化を引き起こす可能性がある。一種の挑発のようなものと考え、戦争に発展するかもしれないことは頭に入れておこう。

入植

 Stellarisの宇宙において、どの帝国の支配下にもない惑星に開拓者たちを送り込んで住まわせ、自国の領土とすることを「入植」といい、こうして帝国の領土となった惑星を「植民地」という。そしてこの植民地こそ、帝国の国力の根源というわけだ。*5

 前述したように、植民地を創設するには開拓者を送り込まねばならないが、これには「コロニー船」が必要となる。

 また、未探索の惑星、アノマリーを持つ惑星、国外の惑星には入植できないので、あらかじめ調査船で探索を終え、建設船で星系基地を建設しておこう。

https://i.imgur.com/ukVAKVT.png

↑デフォルト国家「国際地球連合」のコロニー船。見ての通り非武装で、民間船に分類される。画像は1.9.1。*6

 ではさっそくコロニー船を作ってみよう。コロニー船は他のあらゆる民間船と同様、居住惑星で建造できる。惑星画面を開き、下のタブから「宇宙港」を選べば、建造できる船のリストにコロニー船があるはずだ。

https://i.imgur.com/US08WlP.png

 画像は1.9.1。2.0.0以降、軍艦の建造は星系基地の役割となったので、実際の画面ではコルベットは存在しないはず。

 さて、上の画像でお気づきかもしれないが、コロニー船は途轍もなく高い。さらに維持費に注目して欲しい。ただ存在するだけで毎月8ものエネルギー通貨を消費する経済への暴力、それがコロニー船なのだ。(上の画像では内政操作を一切しておらず、ひとつ建造するだけでエネルギー収支は赤字に転落する)

 維持費や建造コスト、そして基地の建設に必要な影響力コストによって、一度にいくつものコロニー船を建造し、多数の星系に同時に入植するのは序盤では不可能になっている。

 いずれは全てのボーナス星系に入植すべきだが、賢い入植の仕方を覚えて、適切な順番で押さえていくことが望ましい。

 ともかくも、まずはコロニー船がなければ始まらないので、ここでは何も考えず建造ボタンを押すことにする。

https://i.imgur.com/tEUT9GS.png

↑丸一年の建造期間を経て完成したコロニー船「ブラジル」号。よく見ると青いシールドの中に街っぽいものがある。画像ではちょっとだけ内政をしたのでエネルギーは黒字。

 コロニー船の使い方は、他の艦船とさして変わりない。コロニー船そのものか、画面右の「アウトライナー」を左クリックして選択し、ついで、入植したい惑星を右クリックし「惑星に入植する」を選ぶ。

 さて、今入植できる惑星は3つある。

  1. アルファ・ケンタウリ系第三惑星:大陸型。サイズ13。特殊効果なし。
  2. シリウス系第三惑星:大陸型。サイズ19。「肥沃な土地」「低重力」
  3. ディシダー系第三惑星:熱帯型。サイズ15。特殊効果なし。

 各々の位置関係は上の画像のとおりだ。さて帝国初の植民地となるべきはどの星か、考えてみよう。

 

 答えは慣れている人にとっては明らかであろう、2.のシリウス系第三惑星である。惑星を選定する際に見るべき点は以下の3つだ。

  1. 惑星のタイプ(大陸型、熱帯型etc..):序盤で居住性60%以上ならどこでもOK。
  2. 惑星のサイズ(最大25):大きいほど良い。大きくする手段がほぼないので最重要
  3. 惑星の特性:同じサイズの惑星を見比べる時などに。

 シリウス系第三惑星はサイズ19と地球(サイズ16)より一回り大きく、大陸型で人類にとっての居住性は最高クラス、おまけに「肥沃な土地」は食料の生産量と居住性を増し、「低重力」の建物建設コストを割引する代わりに居住性を少しだけ下げるデメリットを相殺して余りある。銀河を見渡してもまれな良物件といえる。

https://i.imgur.com/uI4borF.png

シリウス系第三惑星。今回は食料+、居住性+、建造コスト-の序盤のブーストにこれ以上ない惑星になっている。

 ではシリウス星系に入植してみよう。

https://i.imgur.com/TwultOE.png

https://i.imgur.com/uikZTyy.png

画像は1.9.1。2.0.0以降、入植には影響力を消費しなくなった。

 上の画像のように、入植する際は植民地の中枢をどこに置くか尋ねられる。中枢は隣接するタイルの電力・鉱物・食料をブーストするので、それらの資源に接する所が良いが、そこまで大きな差でもないので、好みで選んでも大丈夫。(好みがあるかは疑問だが)

 植民地の名前を決めたら、あとは宇宙生物にコロニー船が粉砕される、他の帝国が先に入植を始めてしまう等の邪魔が入らない限りは放置しておいてよい。

 さて、時間を進めて観察していれば、コロニー船が目的の惑星にやってきて作業を始めたのが分かるだろう。入植はすぐには終わらず、コロニー船が着陸した後は以下のような「植民中」の状態となる。

https://i.imgur.com/QWitOIj.png

 上の画像の通り、植民中の惑星はコロニー船と同じだけの維持費を初期状態で50ヶ月間要求し、この間はいかなる資源も産出しない。コロニー船がなくなったと思って安心してもう一隻作ると再び赤字に転落してしまう。かといってモタモタしていては、他の帝国に先を越されてしまうかもしれない。早くほかのボーナス星系を押さえてしまうために、ここで内政のやり方を学んでおこう。

 

内政

以下執筆中

 

*1:Non-Player-Character;コンピュータが動かすという意味

*2:虐殺のこと。このゲームでは浄化という。民族浄化等と同じ用法。

*3:NPCの場合、行動パターンなどに影響する。

*4:発展した開始状態のAIがさらに発展する前に発見してしまうため、相対的に国力差は小さくなりうる

*5:植民地というと本国ではないような印象を受けるかもしれないが、Stellarisの場合れっきとした国土の一部と考えて差し支えない。日本で言えば都道府県にあたる概念である

*6:画像を撮影した環境ではDLC「Humanoid Species Pack」を導入済みなので艦船のデザインが人型種族専用のものになっている。哺乳類の四角張ったデザインに飽きた人は買うといい。

ヨヨ(バハムートラグーン)に学ぶゲームヒロインの理想の姿

 どうも、お久しぶり。

ブログの更新も随分久しぶりになってしまったけれど、ついこの間、面白いテーマを見つけたので書いてみようと思う。

あーと、前書を決めていたな、そうそう。

「この文章には、あることの他にないことも書かれている。ここで読んだことは、あくまで『ここだけの話』としておいてもらいたい。ご利用は自己責任で、ということである」

・事の発端

 では、始めるとしますか。

 数日前、筆者がいつものようにネットを回遊していた時のことだ。いかにも面白いワードが目に止まった。スクウェア三大悪女というものだ。知らない人も多いだろうから説明すると、かつて存在したRPGメーカー、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が発売した昔のRPGにおいて、当時のプレイヤーに深いトラウマを刻みつけたヒロインたち、中でも程度の甚だしい者をこう呼んでいるのだとか。

 この記事では、未プレイながら彼女の与えた影響が筆者の興味を引き、かつヒロインというものの何たるかを考えさせられたので、そこについて書いていこうと思う。

 その中でも、タイトルにもあるヨヨという女の子は相当なものだったらしく、三大悪女の代表格として今もなお深い憎しみを抱かれているらしい。(ちなみに三大悪女の他の二人については、ここでは詳しく触れない。一人は確定しているが、もうひとつの悪女枠は人によって入れ替わりがあるようだ)その強烈さたるや、2016年時点でも場末のブログのコメント欄で活発な議論(擁護派:否定派が3:7くらい)が行われているほどで、ローマの悪名高き暴君ネロのような扱いといえば、ゲームに疎い人でもその凄まじさが分かるだろう。

・ヨヨとは

 で、ヨヨなのだが、彼女は96年発売のSFCSRPG、『バハムートラグーン』の登場人物だ。それも脇役ではなく、れっきとしたメインヒロインだというから、作品の顔みたいなものである。このゲームでは、主人公と彼女のみ、プレイヤーが自由に名前を変えられるというところを見ても、ヨヨが他キャラクターと一線を画す存在であることは分かる。

 

 さて、こんな辺境のブログにまでやってくる読者諸兄は(備忘:ネット空間における距離は物理的な距離ではなく、接するコンテンツ、すなわち周囲コンテンツの性質の密度によって表されうるという持論があるのだが、これは後のネタにしよう)、たぶんこの手のお話には造詣が深いであろうから、キャラクター、特に女性キャラクターは基本的に記号化して効率的に伝達することが可能だ。この記号をここでは属性と呼ぶが、ここではヨヨの属性を箇条書きにして伝えることにしよう。

  • 王女
  • 幼馴染
  • 主人公と友達以上恋人未満
  • 攫われる
  • 寝取られる
  • 言動が生々しい

 ……ああ、そうなのだ。言わずとも分かっている。強度が知りたい? では三つだけ挙げておこう。

「所有物を口に出して比較されるシーンがある」

「救出後、着いてきた新しい男と明らかに行為があり、しかも頻繁」

「よりを戻そうとするかのような発言がある」

 本当に驚いた。筆者はNTRをテーマにした同人ソフトの筋かと思った。それぞれの描写があまりにもえげつなく、露骨なのである。小中学生の少年少女たちを対象にしたソフトとはとても思えない、まあ一言でいってスタッフが悪ノリしすぎた作品なのである。シナリオライターが深刻な女性不信に陥っていたことは素人目に見ても分かる。もうこれは、ヒロインをぶち殺せる選択肢を用意してやったらむしろ好評だったのではないか、と真剣に思うレベルだ。

 この記事では彼女の細かい言動については書かないので、ぜひとも一度調べて見て欲しい。人によっていろいろと意見はあるだろうが、まあ20年の時を経た今もなお、地獄の門のごとく燃え盛っていることがよく分かると思う。

・怒り狂うユーザー、擁護するユーザー

 このように、まあ炎上の申し子のようなヨヨなのだが、ユーザーの意見を眺めていると、一定の傾向が見られて面白い。男女問わず、大半はヨヨの行為に否定的なのだが、やはり同性ゆえか、擁護派は女性が多いようだ。また、憎しみを忘れることができないらしく、否定派は冷静さを欠いた意見もけっこう多い。

 で、その意見の中身なのだが、多数派の否定派は

  • 単純に心変わりが許せない
  • 指導者としての資質を疑う
  • 心変わりはともかく言動が不快

という感じであるのに対し、擁護派は

  • 現実の女性もこんなもの
  • 悪女というよりは精神的に幼いだけ
  • ヒロインには主人公と結ばれる義務はない

みたいな内容が多い。全体的に見ると、そもそもスタッフが確信犯で「悪者」として作った感があるキャラクターなので擁護が難しく、否定派が優勢だった。

 ここでは、実際にヨヨが悪女なのかどうか、については議論しない。その代わりに、ユーザーの求めているヒロインとは、一体どういう存在なのかに着目していきたい。

・「現実の女性」との比較の意味

 擁護派の意見でよく目にしたのが、「恋愛は自由であり、現実にもこの程度のことをする女性は普通にいる」というものだった。その真偽はともかくとして、実はこの意見は面白い示唆をふくんでいる。

 この意見は、事実上、架空の世界に形成された架空の女性の人格と疑似恋愛を行うユーザーを批判しているといってよい。「君たちの見ている幻想を基準にするから悪く見えるだけで、現実の基準からするとそうは言えないよ」ということである。そう、これはユーザーたちがヒロインという幻を見ている、という意識が前提にないと出てこない発言なのだ。

 筆者は上で、ヨヨについて解説するために、属性という概念を敢えて用いた。これはゲームヒロインは少数の要素によって表現可能な、記号化の進んだ概念であり、ヨヨもその例に漏れないことを印象づけたかったためだ。筆者は実際にゲームを遊んだわけではないので断言はできないが、1996年当時ならばともかく、NTRが成人向け作品で1ジャンルを築き上げて久しい2017年現在、ヨヨは十分に記号化の範囲に収まる程度に情報量の少ない存在だと断ぜられる。

 言うまでもなく、ヨヨは架空の人物である。96年当時は、架空の女性を扱う言葉に適切なものがなかったというだけで、彼女は実のところ、別段リアルに作られていたわけではないことが、今であればはっきりと述べられる。

 これはヨヨのような言動をする人物が現実にはいないとか、それが平均的であることはあり得ないとか言っているわけではない。そういった比較自体がナンセンスであり、無意味であると言っているのだ。

 なぜなら、現実の人間と比較するには、本来、彼女はあまりに情報不足だからである。もちろんこれはあらゆるゲームキャラクターについて同様のことが言えるわけだが、彼女については、全年齢向けRPGのメインヒロインにあるまじきその設定、言動が、当時のプレイヤーたちに理解不能な感覚として受け止められ、劇中での「おとなになるってかなしいことなの」という本人のセリフ等から、それがあたかも「大人の感覚」であるかのごとく誤解されたきらいがある。

 ヨヨはリアルな(当時のプレイヤーから見て)年長の女性を描いたキャラクターではなく、あたかもそのような印象を与えるキャラクターなのだ。(年長といっても十年以内ではあろうが)

 このことを示すよい傍証として、主人公が振られてしまったことを周囲の登場人物が明確に口にするシーンがある。製作側が意図せずして、ヒロインが主人公以外のキャラクターと恋仲になっていると誤解されるようなシーンを入れてしまうことはたまにあるが、ヨヨの場合は明らかに、スタッフは「振らせた」のであり、プレイヤーがそう感じていることを想定している。当時のユーザーの多くにとって初めての感覚、すなわち「失恋」や「寝取られ」の感覚を、製作側ではほぼ正確に把握し、それを狙って生じさせている。ならば、ヒロインの人格や言動も、そのために作られたものと考えることは自然であろう。

 我々は、理想的な人格者、鉄のような心を持つ人間が現実に多く存在するということには懐疑的だ。ふつう人間はもっと悪いものだと考えるためだ。だが一方で、理想的な悪徳の持ち主については、特に疑わずその実在を信じてしまう傾向があるようだ。しかし考えるまでもなく、実際の人間はそこまで良くもないが、同時に悪くもないのである

 畢竟、創作の世界にリアルな人間など存在しない。あらゆる創作は、人間のリアルさを感じられるほど表現のスペースを持たない。せいぜい、数少ない言動の中で整合性が保たれているか程度の話で、しかも現実の人間の場合はそれすらも保たれない場合が決して少なくないのだ。

 ヨヨはプレイヤーに良くも悪くも衝撃を与えたキャラクターであり、一見すると、確かに創作における「理想の女性」観から自由になった造形をしているかのように見えるかもしれないが、実のところ、それは「現実の女性」と「失恋」が、当時のプレイヤーにとって共に「未知」の領域に存在するために生じ、そして製作側に助長された錯覚にすぎない。言動の一つ一つは、ライターの実体験に基づいている可能性があり、そのため、似た経験のある人にとっては確かにリアルに感じられるかもしれないが、それは必ずしも、投射先であるヨヨに人格と呼べるほどの造形の作り込みが為されていることを意味しないのである。

 ヨヨは飽くまで架空の人物であり、他と比較してその作り込みが細かいということは決して無い。ただ印象が強いだけだ。ゆえに、現実世界の女性を引き合いに出してしまうのは、かなり的はずれな意見になってしまうのである。

・ユーザーの求めるヒロインとは

 なるほど、ヨヨが架空の存在に過ぎず、ゆえに現実との比較にあまり意味がないのは分かった。彼女は底意地の悪いスタッフが、純情な少年少女の心に波紋を起こしてやろうと仕込んだ爆弾だったというわけだ。

 では結局どんなヒロインならば良かったのだろう。普通に救出され、普通に主人公と結ばれるようなヒロインだったら、ここまで記憶には残らなかっただろうし、こうして筆者がブログに書くこともあるまい。彼女が特異な存在であったことは間違いなく、それに関してはまだ分析する価値がある

 上において、「理想の女性」という言葉をちらりと使った。ヨヨを理想の女性とする人間は稀であろうが、一般的にヒロインにこの概念はつきものだ。

 RPGは数あるゲームジャンルの中でも、最もプレイヤーが主人公に感情移入しやすいものの一つだ。プレイヤーは、多かれ少なかれ、主人公に自分を重ね合わせている。これは主人公の持つ強さや容姿を自分のものと錯覚しているという意味ではなく、単純に、視点を主人公に近づけてゲームを遊んでいるという意味だ。プレイヤーは主人公を襲う敵を自分の敵と認識し、共に戦う仲間を友と認識する。主人公がお金を貰ったなら、(ゲーム内でしか使えないが)それはプレイヤーがお金を貰ったのと同じことだ。

 主人公とプレイヤーは基本的に同じ目線に立っており、だからこそ、主人公に栄誉を与える、冒険させるというRPGの内容が娯楽として成立する。主人公がある程度プレイヤーの思い通りに動かせるのも、この感覚をより強くしてくれる。

 さて、ここでヒロインの存在である。シナリオに恋愛要素が含まれる場合(つまり主人公が恋愛する場合)、それはプレイヤーの恋愛体験と(擬似ではあっても)同義であるから、作る側はかなり気を払うことになる。

 プレイヤーを満足させるには、理想的にはその相手、つまりヒロインに対して「本気」になって貰えればいい。ではどうやってヒロインに恋させるか。まず、容姿は端麗でなければならない。何だかんだで、見た目などどうでもいいという人間はごく少数派だからである。好みはあるものの、基本的に「美人」という観念は共通するものなので、これは絵のうまい職人がいればさして難しくない。

 問題は人格の方だ。どんな性格の人間を好ましく思うかは、人によってさまざまだ。これ、といった統一解が出しにくく、造形はかなり難しくなる。このために、様々な性格のヒロインが登場し、ある者は人気を得、ある者は酷評されてきた。だがどんな者であろうと、それが製作者の考える「理想像の一つ」であることは共通してきた。

 これがヒロイン(のみならずキャラクター全般)が記号化し易い理由だが(好ましい、という条件が多様性を損なわせる)、プレイヤー側もこれに早期に順応し、この仕組を受け入れ、提供される恋愛を享受してきた背景がある。

 そこでヨヨに話を戻してみよう。当初、プレイヤーにとって彼女はヒロインであった。これを言い換えると、プレイヤーの為に用意された「理想の女性」の一つ、それも「幼馴染」などの分かり易い属性付けがされた、ステロタイプなものであり、早い話が、プレイヤーの所有物だったのである。

 読者諸兄、特に女性の方は(いないと思うが)こういった書き方をすると反発をするかもしれない。だがこれは人間や女性を物として扱うというメンタリティに基づくものではなく、「架空の人物を、現実の人物と対等視しない」という前提に基づいているのである。

 人間らしく作ってはいるが、それが作り物に過ぎないことを、プレイヤーの誰もが知っている。この感覚は恋愛の疑似体験を著しく阻害するので、通常は無意識下にあるが、プレイヤーは根本の部分で登場人物たちを人形のような、一段劣った存在として認識しているのだ。

 さて、今回与えられた中でもとっておきの所有物、製作側から「こんな女性はどうでしょう?」という提案の具現であったはずのヨヨだが、蓋を開けてみれば、実はプレイヤーの所有物ではなかった。のみならず、あたかも選ぶのは自分の方であるかのように動き出す。ソフト購入前のプレイヤーの特権をあざ笑うかのような暴挙に、これだけで多くの人間が気分を害したのも無理はないといえよう。

 ここにきて、プレイヤーは弄ばれる側の気分をたっぷりと味わわされることになった。特にヨヨに対して攻撃的にならない主人公の人の良さは、誰の目にもとても都合の良い男であるように映る。そしてよくよく観察すれば、それはプレイヤーがあって当然と思っていたヒロイン像に酷似しているのである。

 ヨヨはどんなヒロインならば良かったか。実のところ、プレイヤーの所有物にすることをスタッフが拒否するのならば、悪女と呼ばれる設計は最適な答えではなかったかと筆者は思うのである。

 明らかに、当時のプレイヤーは期待を裏切られ、おまけに「ヒロインは主人公と結ばれて当然」という所有感を皮肉られている。誤解しないで欲しいのだが、背景を考えれば、ヒロインに対して所有物の認識を持つことは、何ら非難されるいわれのない、当然のことである。

 これは、「擬似的な人間を自由にすることに罪悪感を覚えないのか」という、疑似体験の全否定のような問いかけであり、それを言ってはお終いな話なのである。そんなことを言い出すのなら、初めから作らねば良かっただけのことではないか。代価を支払って体験を購入しているプレイヤーに対し、これは本質的に無礼な態度だと筆者は思う。

 だからこそ製作側にとって、ヨヨは悪女でなければならなかった。プレイヤー側で「こんなのなら要らない」と思ってもらうことが出来れば向こうの溜飲も下がるし、「心変わりするのは良かったけれど、その後の言動が良くなかった」と怒りの所在をすり替えることも出来るからである。

 実際は違うのだ。プレイヤーが怒るべきは、「自分のものでもないものを、あたかもそうであるかのように見せかけられた」ことなのである。「現実の人間の恋愛観は自由」だからといって、そもそも現実の人間でない架空の存在に同様の基準を適用せねばならない義務など、プレイヤーには存在しない。

 これは「人間に似たものを人間扱いしていない」ことに対するプレイヤーのひそかな罪悪感を自ら暴いておきながら、そこから目を逸らせるような材料を配置しておくという、プレイヤーをからかうような所業なのである。

 娯楽の溢れる現代、受け手も作り手も斬新なものを求めているから、時にヒヤリとさせられるような作品が出て来ること自体はいい。しかし面白半分につつくべきではない領域でもあると筆者は思う。今作ではヒロインを悪女としたことで、プレイヤーから気づきの機会を奪い、ただただ不快な気分のみを残す結果に終わってしまった。

 「架空の人物を大切に思うのなら、物としてではなく人間として扱うべきでは?」そう問いかけるよい象徴となれたかもしれないヨヨは、恐らくはライターの覚悟のなさによって、単に嫌な女になってしまったのだ。筆者にはそれが不憫でならない。